出版社内容情報
実は今川家の人質ではなく厚遇されていた! 嫡男と正妻を自死に追い込んだ信康事件の真相とは? 最新史料を駆使して「天下人」の真実に迫る。通説を覆す新解釈が目白押しの刺激的な一冊。家康論の真打ち登場! 大河ドラマ「どうする家康」をより深く楽しむために。
内容説明
家康についての本格的な研究が、この十数年でようやく進んできた。これまでの多くの通説が書き改められるようになっている。ただし、関連書籍の内容は通説に依拠したままだったりと、満足のいくものは多くない。現在の家康研究の到達点を示しておくことは有意義であると考え、本書を刊行した。
目次
第1章 今川家における立場
第2章 三河統一と戦国大名化
第3章 織田信長との関係の在り方
第4章 三方原合戦の真実
第5章 大岡弥四郎事件と長篠合戦
第6章 築山殿・信康事件の真相
第7章 天正壬午の乱における立場
第8章 羽柴秀吉への従属の経緯
第9章 羽柴政権における立場
第10章 関ヶ原合戦後の「天下人」化
著者等紹介
黒田基樹[クロダモトキ]
1965年東京生まれ。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。博士(日本史学)。専門は日本中世史。駿河台大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サケ太
19
徳川家康が好きだ。徳川家康の生まれから、人質としての生活、織田家の誘拐、戦国大名に至る過程から、織田信長との関係性。個人的に、大岡弥四郎事件や築山殿・徳川信康事件をとても興味深く読めた。他の方の家康の書籍も読んでいたが、差異もあり面白く感じた。家康の生涯を追うならベストな1冊と言える。2023/03/30
nagoyan
18
優。著者の、いつもの、膨大な家系図的人物比定、一時文書をふんだんに使った戦国時代権力統治形態の復元、といった著作とはだいぶ趣が異なる。徳川家康に関して近年著しく進んだ研究をほぼ網羅的に紹介する。その中で、著者の近著で取り上げられた戦国時代の武家の正妻=「家妻」についての言及も目をひく。著者は、秀吉が織田政権内部から乗り超える過程と家康の豊臣氏重臣から徳川政権樹立の過程の類似性を指摘する。羽柴氏側でも家康への政権移行は織り込み済みだった。家康が当初から羽柴氏を滅亡させるつもりだったとは考えていないよう。2023/03/26
ほうすう
16
大河効果で出された一冊だとは思うが家康の最新研究を端的に描いた良書。個人的には家康の人質時代はなかったくだりや、実質的に織田の傘下に組み込まれていたことが思ってた以上に早い段階でのことであった点、本能寺以後も織田政権を担う存在として畿内と連動して行動していた点などは興味深かった。2023/05/31
Emkay
13
現在なお新事実が出続けている徳川家康の研究動向を紹介。今川家人質時代の立場(必ずしも従属的ではない)、織田信長との同盟関係の解釈(信長天下の後従属的になった)、三方ヶ原の経緯(偶発性)、築山殿・元康事件の真相(築山殿の武田家への意図的接近)、本能寺の変直後の秀吉との関係、関ヶ原以降天下人となった細かい経緯など、いずれも大筋の理解を変えるほどではないが細かいニュアンスがより良く露わになっている様子が分かる。これまで聞いていた家康伝説に、多少誇張されていた部分があったことを教えてくれる。2023/11/22
Youhei Takatsu
8
徳川家康の研究についてもまだまだ途上の事案が多いようである。今まで歴史の教科書等で学んできたことは違うことが明らかになってきているようである。信長との同盟については家康の方が格が下。ゆえに武田信玄にも格下の大名として見られてしまっていた。しかし、強運が多く生き残ることができた。羽柴政権下では筆頭の地位にあったということも改めて認識しておく必要がある。 2023/03/19