出版社内容情報
現代でも話題になる結婚や離婚、誰もが不安を抱く病気や葬儀、それに伴う遺産相続、将来を見据えての教育体制……。それらは、中世の日本でどのように行われてきたのか? その他、年始の挨拶やお中元、引っ越しから旅行まで、中世の日本人の習慣を詳細に読み解く一冊。
内容説明
戦の世における、人々の日常生活とは?山伏や陰陽師などにより祈祷が捧げられた出産、口を開けて舌を出したり、唾を飛ばすことを戒める武家の家訓、死傷者まで出た、子どもの日の石合戦、現代と変わらない、年長者による説教と自慢話…。知られざる、中世日本人の姿に迫る!
目次
第1部 人生の歴史学(中世の家族;中世の教育;中世の生老病死)
第2部 交流の歴史学(中世の宴会;中世の寺社めぐり;中世の誕生日会;中世のお正月;中世の外国人 ほか)
付録 さらに中世を知りたい人のためのブックガイド
著者等紹介
呉座勇一[ゴザユウイチ]
1980(昭和55)年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専攻は日本中世史。国際日本文化研究センター助教。2014年『戦争の日本中世史』(新潮選書)で第12回角川財団学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
94
歴史というと、政治・外交・軍事が中心になる中で、人々の生活ぶりを中心に描こうとして、家族制(結婚、離婚、兄弟、相続)、教育(武家、貴族、庶民)、生老病死(出産、葬送)、交流(宴会、行事、贈答、旅行)が紹介されている。婿取婚から嫁取婚への移行、女性の性愛自由説、庶民の葬送は風葬などの項目に興味を惹かれた。中世における網野史学の偉大さを認識する一冊でもあった。ただ、古代史や近世史の知識に乏しい浅学の私には、歴史の連続性が把握できず、折角、中世に招待されたのに、その本質がしっかり理解しきれないことが情けない。2020/09/22
エドワード
56
「麒麟がくる」が面白い。ステレオタイプな戦国ではなく、色彩豊かで、立て膝で座る女性たち、リアルな城砦、たくましい庶民。ここには確かな考証に基づいた中世の姿がある。中世ファンの私には45分がすぐに過ぎる。中世研究の最前線を数々紹介してくださる呉座先生。近世の堅苦しいフィルターを取り去った、自由な中世の暮らしが見えてくる。漢字を書けない武士、家訓で「嘘をつくな」とあれば、嘘つきが横行していた、との解釈に苦笑する。人々の往来、市場のざわめき。結婚、まつり、贈答、教育。そこには確かに現代に繋がる日本の祖型がある。2020/03/24
terve
53
腕を組んで人を斬る!!呉座抜刀齋の実力が発揮された本。いかに歴史の教科書が政治史に重きを置いているかが分かります。勿論、今の日本の成り立ちは政治史を見ていくことが大切です。しかし、我々に直接繋がっているのは我々と同じような日常ですよね。中世、特に室町といえば長年暗黒の時代のように捉えられましたが、浦では結婚・教育・出産・旅行という営みが綿々と続いていたわけです。特に島津家久のイメージがガラッと変わりましたね。非常におもしろい本です。2020/02/21
みこ
47
日本史で中世と言えば鎌倉時代から安土桃山時代までを指すのだろうが、本書は別に源平合戦から関ヶ原までの歴史の流れを解説したものではない。その時代に生きた人々(主に一般庶民)の暮らしぶりや人との交流の様子について残された資料から分かることを解説してくれる。子供の喧嘩に親が出てきて余計にこじれたりとか、島津の御曹司が旅先で庶民と一緒に船に乗ったりとかまるで洛中洛外図に描かれた人たちが動き出したかのような微笑ましさを感じ取れる。これまでの著作で薄々感じてたけどやっぱり井沢元彦氏のことは好ましく思ってなかったのね。2020/04/20
chietaro
34
日本中世史は学生時代から苦手意識がありますが、この本は目線が当時の人々と同じ高さになった気がして楽しかったです。貴族の手紙の書き方の序列、出産に関わる穢れの話など、知らないことがたくさんありました。また、日本中世史のおすすめの本の紹介で次回読んでみたい本も発見できて嬉しかったです。2020/04/29
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- 和書
- 世界を翔ぶ 講談社文庫