出版社内容情報
単身日本を飛び出し、クラシック界の頂点へ駆け上がる小澤征爾。「男はつらいよ」「8時だよ、全員集合」などのテーマ曲を手掛け、音楽を大衆に伝え続けた山本直純。音楽を心から愛し、新日本フィルを立ち上げた二人の人生をダイナミックに描く。
内容説明
「埋もれた天才」と「世界の巨匠」この二人がいなければ、日本にクラシックは存在しなかった。日本クラシック音楽の基礎を築いた二人の波乱万丈な人生。
目次
第1章 齋藤秀雄指揮教室(1932~1958)
第2章 大きいことはいいことだ(1959~1970)
第3章 オーケストラがやって来た(1971~1972)
第4章 天・地・人(1973~1982)
第5章 1万人の第九とサイトウ・キネン(1983~2001)
第6章 鎮魂のファンファーレ(2002)
著者等紹介
柴田克彦[シバタカツヒコ]
1957年福岡県生まれ。音楽ライター・評論家&編集者。國學院大學文学部卒。中学、高校、大学の吹奏楽部でトロンボーンを演奏し、東京フィルの裏方も経験。専門紙の編集者、クラシック音楽マネージメントの宣伝担当を経て独立し、雑誌、プログラム、宣伝媒体、CDブックレットへの寄稿、プログラム等の編集業務、講演や講座など、幅広い活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Isamash
34
音楽ライター柴田克彦2017年著作。1960年代等の日本映画を漁っていて山本直純音楽の多さに驚いている。彼はいったい何者なのか?山本は東京藝術大学出で小澤征爾と指揮の師匠は同じで、何と小澤を指導していた時期もあるらしい。しかも長年友情関係にあったとか。著者に指摘されTV番組の主題歌で彼作曲の多さを再認識。著者曰くその大衆的なイメージのために山本の作曲家指揮者として正統に評価されていないと。実際、小澤は山本を天才と評価し、クラシック畑で指揮の機会を度々設けていたらしい。自ら評価出来ない日本社会の問題を感じた2023/02/21
けんとまん1007
34
小澤さんをして天才と言わしめる山本直純さん。確かに、印象に残っているのは、ここでも書かれているとおり、音楽を広めるというあたりのところばかり。今でも耳にすることがあるテーマ曲の、なんと多いことか。持って生まれた才能が溢れすぎた直純さんが、自分の立ち位置と、小澤さんの立ち位置も考え、動く。それを小澤さんは、わかっているという、この二人の関係性が凄い。たられば・・・な、どうしようもないのだが、直純さんが違う路線に行っていたら、どうなっていたんだろう?と思ってしまう。2018/01/14
紅花
21
久しぶりに「森のうた」が読みたくなって、Amazonを検索したらヒットした本。山本直純さんの真の天才ぶりと、小澤征爾さんの努力や人柄がもたらす活躍。山本直純さんの音楽を聴くとき、メロディーもだけど、メロディー部分以外のパートに耳を傾けると、とても心地よい。本当の天才。日本のバーンスタインって言うけど、それもありだけど、彼の音楽はカジュアル、現代的に聞こえて、ものすごく古典的、伝統的な柱や梁があって、その上に成り立っている、んじゃないかしら?と思う。私はモーツアルトじゃないのかしら?と思う。2018/05/05
ろべると
17
小澤征爾が「自分より才能が上、まったくかなわない」と脱帽した山本直純。「大きいことはいいことだ」のCMや「オーケストラがやってきた」などの番組でクラシック音楽の裾野を広げた山本は、類まれな音感の持ち主にして、天性のメロディストであった。豪放磊落な性格で愛される一方で、子供のように振る舞い周囲を困惑させた(親交が深かったというさだまさしの述懐が抱腹絶倒である)。本書は世界の頂点を極めた小澤と、底辺(?)で活動せざるを得なかった山本を描くが、後者の再認識が主眼となっており、その足跡を辿ってみたいと思わせる。2024/02/28
美東
15
私的には、山本直純の天才は指揮よりも作曲 に見出だせる。