出版社内容情報
島田裕巳[シマダヒロミ]
内容説明
天皇制に最大の危機が訪れている―。このまま何もしなければ、皇室以外の宮家が消滅することはもちろん、皇位継承資格者がまったくいなくなる事態も予想される。天皇がいなければ首相の任命も、法律の公布もできない。つまり、日本が国家としての体をなさなくなる。私たちは現在の憲法を見直し、その大胆な改革をめざすべき状況に立ち至っているのである。
目次
第1章 天皇とは何か(日本国の象徴;君主か、元首か ほか)
第2章 わび状としての日本国憲法(「おしつけ憲法」対「自主憲法」;第九条をめぐる議論 ほか)
第3章 大日本帝国憲法と皇室典範の関係(「明治憲法に戻すんですよ」;求められる道徳性 ほか)
第4章 皇室典範が温存されたことの問題点(国家神道の解体;「人間宣言」における「国民」 ほか)
第5章 どのように憲法を変えていかなければならないのか(自由民主党の憲法改正草案;改正草案の前文 ほか)
著者等紹介
島田裕巳[シマダヒロミ]
1953年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得のうえ満期退学。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、NPO法人葬送の自由をすすめる会会長を歴任。現在は作家、宗教学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
funuu
16
明治以前の天皇が、政治上の実権を失ってもその地位が守られてきたのも、位階を授けるという役割を果たしていたからである。鎌倉時代以降は、武家が権力を握るようになるが、その権力を正当化する上で、天皇から官位を授けられ、征夷大将軍などに任命されることが決定的に重要だった。そうした側面は、現在の憲法下でも変わっていないと言うことができる。GHQが天皇家の廃絶を狙い皇室典範を変えたのだろう。著者が大統領制を言うのはビックリ‼️2017/01/09
Humbaba
6
そこに問題があると分かっていても、問題が表面化するのが将来であるとわかっている場合には対処しないこともある。問題が大きければ大きいほど、答えがまとまらないだけに先送りしたくなることは多い。しかし、ずっと先送りしておくことは出来ない。だからこそ問題に対する情報をしっかりと共有することが第一歩となる。2017/01/09
田中峰和
4
憲法記念日に首相が流した憲法改正メッセージが話題の昨今、その真意を問われ「読売新聞を熟読せよ」との答弁に驚いた。安保法制すら解釈改憲で乗り切った現政権が無理に憲法改正を目論む真意は何か。安倍をはじめ日本会議所属の連中は、憲法改正教とでもいうべき宗教に凝り固まっているようだ。現憲法が米国の押し付けと主張する連中は、いまの憲法が大日本帝国憲法に近似していることに気づいているのか。生前退位の意向を示した天皇メッセージ。皇室典範どころか憲法改正にも影響するとしても、昭和天皇崩御の自粛ムードの二の舞は避けたい。2017/05/10
ふじこ
2
現行の皇室典範では将来天皇が日本からいなくなるかもしれません。天皇は憲法改正や法律の公布、内閣総理大臣や最高裁長官の任命など様々な憲法上の役割が規定されています。そうすると、天皇がいなくなれば日本という国が機能しなくなってしまう。そうした事態を回避するために筆者が提案していることはかなり実現可能性が低いように思います。しかし、筆者の問題意識は日本人全体がしっかりと考えなければならないでしょう。2017/06/07
高木正雄
1
結局、特別措置法でお茶を濁して本質についての議論はなかった。8年前の本だが何一つ前に進んでいない。私はこの問題は戦後の伏見宮系の臣籍降下が大きいと思う。旧皇族から養子をとるにしても女系を認めるにしても遅すぎるのではないだろうか。政府はなにをぐずぐずしているのか。最後の大統領制というのは絶対に実現しないだろう2024/11/21