朝日新書<br> 不毛な憲法論議

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朝日新書
不毛な憲法論議

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  • サイズ 新書判/ページ数 286p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784022735577
  • NDC分類 323.14
  • Cコード C0232

出版社内容情報

【社会科学/法律】安倍政権の下で焦点となりつつある憲法改正。しかし、改憲派と護憲派の主張はあまりに隔たり、一般の人には何が論点なのかもわかりにくい。96条、9条から人権、天皇制まで、憲法論議の肝について、改憲、護憲、それぞれの論理を繙く画期的一冊。

内容説明

九六条と選挙制度、九条と自衛隊と日米安保、基本的人権とアメリカの正義―。日本の憲法論議は本質が語られないまま、条文の解釈に終始してきた。護憲派、改憲派、それぞれの病理を明らかにすることで、根本から日本国憲法を捉え直す。日本国憲法をめぐる議論の歴史が一冊でわかる!

目次

第1章 改憲論の袋小路―九六条先行改憲論の欺瞞
第2章 護憲論者を精神分析する―「分裂」から「疾病利得」に至る症状
第3章 圧力による憲法制定―「日米合作憲法」の病理
第4章 東大憲法学の迷走―「八月革命」という徒花
第5章 改憲論のインフレーション―失われる「戦後からの脱却」
第6章 基本的人権は国境を超えるか―「法普遍主義」というグローバリズム
第7章 象徴天皇をめぐる論争―シンボルの意味を読み解く
第8章 九条が繁栄をもたらしたのか―軍備と経済の正しい理解
第9章 人間にとって法とは何か―そして日本人にとっての憲法

著者等紹介

東谷暁[ヒガシタニサトシ]
1953年、山形県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、雑誌編集者に。ビジネス誌や論壇誌「発言者」の編集長を歴任し、97年よりフリーのジャーナリストとなる。鋭い洞察を含んだ論文やリポートを数多く発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

niisun

13
「近頃の憲法論議、改憲派も護憲派も、根本的な部分が抜け落ちてないですか?」というのが、この本の著者の論です。 すべてを理解するのはなかなか難しいですが、それでも、日本国憲法の策定経緯、その策定経緯を踏まえた上での、我々日本人の憲法に対する認識や取り扱い方には、多種多様な主義主張があり、それがそれぞれどのような事情に基づいて論じられているのかが良くわかる内容でした。 今、まさに国会で審議が進んでいる安全保障に関わる法制定の議論を読み解く基礎知識を得るのに役立つ書ではないかと思います。2015/06/02

kenitirokikuti

11
図書館にて。2014年刊行。先週にいくつか借りた改憲ないし護憲ものひとつ。タイトルからは護憲派や九条派を当てこする時事評論を連想したが、主要な憲法論議を拾って整理するものだった▲法実証主義(リーガル・ポジティヴィズム)対自然法論ってトピックがどこから来るのか私はこれまでよく知らなかったのだが、東京裁判なのね。当時の国際法の主流は法実証主義(非遡及の原則を守る)だったが、1945年8月国際軍事裁判憲章により事後法による処罰を可能にして(ケルゼンもそれを良しとする論文を書いた)、ニュルンベルクや東京裁判に至る2023/09/26

ヒロ

5
大学で日本国憲法の授業を受けていた。そのときに何処となく感じた「胡散臭さ」、「違和感」をものの見事に表現してくれている。読後には何かスッキリとしたものが残ると思う。日本国憲法はこんなにも欺瞞性に満ちているのかと痛感した。護憲、改憲問わず、日本人のこれまでやってきた憲法論の空虚さを説いており、憲法をどう考えたらいいのかを勉強できると思う。著者が憲法学者でないからこそ、偏見に囚われず本質的な議論が展開されている。2014/07/01

ドクターK(仮)

3
憲法について考える上での思想的、歴史的な議論が本書では展開されている。論点は多岐に渡り、所々かなり込み入った内容もあるため、時に難解な印象も受けるが、それは世間一般で展開される憲法論議の中身があまりに薄っぺらいためだろう(もちろん、自分の勉強不足のせいでもあるのだが)。護憲派を批判するいわゆる改憲派の言説は数多くあるが、著者はそうした改憲派にも手厳しい。一見迂遠でややこしく思えても、本書のような憲法の本質に関わる議論を踏まえなければ、改憲したところで手痛い失敗に終わるのは明らかである。2015/12/29

pudonsha

2
新書で気軽に憲法を勉強しようと思って手にとったが、思想史を踏まえた内容で読むのに時間がかかった。この水準で国民的な議論を行うのは相当難しいが、本来はこういう議論をしないと憲法について考えたことにはならないだろう。「憲法学者は思想史家であり哲学者でなければならない」。2015/09/28

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