出版社内容情報
【文学/その他】今、日本人は食を巡って大きく二つに分かれている。食の安全のためにお金を使うことを厭わない人々と、安全よりも安さと量を重視する人々。食べ物を通して歴史や社会を読み解きながら、日本人の新たな政治意識を導き出す。
内容説明
「食べるものを選ぶ」それだけで政治思想がわかる。今、日本人は食をめぐって大きく二つに分かれている。食にお金をかけることを厭わない人々と、安全よりも安さと量を重視する人々。それぞれの思想を細かく見てみると、新たな社会や階層が見えてくる。食で読み解く新感覚の政治論。
目次
序章 「食の分断」から見えるもの
第1章 政治と切り離せない食
第2章 フード左翼とは誰のことか
第3章 政治の季節から食の季節へ
第4章 魔術化するフード左翼と民主化するフード右翼
第5章 フード左翼のジレンマ
補章 高齢者の未来食と共産主義キッチン
終章 食から政治意識を読み解くということ
著者等紹介
速水健朗[ハヤミズケンロウ]
1973年、石川県生まれ。ライター、編集者。コンピュータ誌の編集を経て現在フリーランスとして活動中。専門分野は、メディア論、都市論、ショッピングモール研究、団地研究など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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mitei
146
食の観点から政治を見るというのは今までありそうでなかった一冊かなと思った。確かに何を食べるのかと言うのはその人の思想信条が最も現れているなと感じた。おそらく私などはフード極右に該当しそうですw2014/01/07
yamaneko*
52
アメリカでは、海岸の大都市圏は民主党で「スターバックス」、中央農村部は共和党で「クァーズビール」を好む。今まで日本では、政治とライフスタイルはそんな密接な関係はなかったが、消費傾向を通して変化しつつあるという。何を選び、何を食べるのかが、個人の選択に留まらず、世界にも影響していく。健康によかれと思って有機食品を買う行為が、人口増を続ける世界の食糧難に拍車をかけることになるとは。。考えさせられる一冊です。2014/06/09
ホッケうるふ
46
著者の「フード左翼」という定義の考察は深いが対極定義の「フード右翼」とは実は普通の一般大衆の事であり看板に偽りあり。フード左翼の生産者とその消費者が同じ思想と言うがオーガニックを消費する大半の都会人は著者の言う都市アッパーミドル層の趣味嗜好から「オシャレさ」と「多彩さ」で選んでいるだけなのでは?むしろ本書はフード左翼の観点からアメリカ人が食=政治意識のレベルで都市リベラル層と地方保守層に分かれると指摘した点が見事。2013年の時点で誰も想像しなかったトランプという大統領が成立した理由を言い当てているのだ。2019/05/02
さきん
35
フードと政治を絡めるのは良い試みだと思ったが、右派と左派たちは逆だと思った。地域主義が右派でグローバリズム側が左派ではないだろうか。時々レストランを襲うビーガンや、マクロビオティック、ローフーディズムなどそれぞれの思想も解説してあり、農業派、契約派など有機農業内での対立など勉強になる話が多かった。2018/12/15
おさむ
27
you are what you eat.ですから、人間の食生活は、政治的で哲学的との解釈は腑に落ちました。自分にあてはめると、フード左翼かなぁw。でもジャンクフードも好きですし、食が多様な日本は欧米と違って、単純に食の左右色分けはできないような気もします。そこがこの本の主張の限界なのかもしれません。2015/05/02