内容説明
先の見えない時代にあって、挫折や孤独をかみしめながら自分の信じるところを実行した7人の男たち。彼らの行動は、果たして裏切りと言えるのか。西洋史に造詣の深い著者が、豊富な資料をもとに、ナポレオンを裏切ったと言われる男たちの心理と生涯に迫る。「裏切り者」として歴史に名を刻んだ男たちのドラマ。
目次
第1章 百日天下を崩壊させた男―ナポリ国王ミュラ
第2章 流刑地セント・ヘレナへの道をつけた男―警察大臣フーシェ
第3章 退位に追い込んだ男―元帥マルモン
第4章 帝国を瓦解させた男―外務大臣タレイラン
第5章 首都パリを明け渡した男―警視総監パスキエ
第6章 ワーテルローを敗戦に導いた男―元帥ベルティエ
第7章 故郷を奪った男―コルシカの英雄パオリ
著者等紹介
藤本ひとみ[フジモトヒトミ]
作家。長野県生まれ。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光を浴びている。フランス・ナポレオン史研究学会の日本人初会員。フランス政府観光局親善大使を務め、現在同名誉委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
9
ナポレオンを取り巻く七人の「裏切り者」についてさっくり伝記と論評。ナポレオンさえ恐れさせ悪の権化の如くイメージされた警察大臣フーシェに対し、むしろ善人だったと指摘するところが面白い。一方、怪人的な人物としてばかり言われるタレイランは本書でも破壊衝動の化身のように。総じてナポレオン周辺記録という感じで薄味だが読みやすく、ここから発展させた藤本氏の小説を読んでみたい2013/09/07
Yapuppy
4
ナポレオンを裏切った7人と、ナポレオンの物語。裏切りといはいうものの全てナポレオン自身が他人の言う事に耳を貸さなかったことに原因があることがわかる。8人とも図太い神経の持ち主であったが、各々は繊細な人物であったと主張し行動原理、心理的側面を女性の視点から描く。フーシェとタレイランに関しては"なるほど"と唸らざるを得なかった。独裁者はいけない。2012/11/02
kokada_jnet
3
ナポレオンを裏切った7人の人物を扱っているが。新書のページ数なので、人物描写が薄すぎて物足りない(その中には、フューシェ、タレイランといった超大物まで含まれというるのに・・)。このテーマで書くのなら、選書レベルのページ数はほしかった。2009/07/18
Go Extreme
2
百日天下を崩壊させた男―ナポリ国王ミュラ 流刑地セント・ヘレナへの道をつけた男―警察大臣フーシェ 退位に追い込んだ男―元帥マルモン 帝国を瓦解させた男―外務大臣タレイラン 首都パリを明け渡した男―警視総監パスキエ ワーテルローを敗戦に導いた男―元帥ベルティエ 故郷を奪った男―コルシカの英雄パオリ2021/04/15
Kentaro
1
ダイジェスト版からの要約 なぜマルモンは、ナポレオンを裏切ったのか。マルモンは自分の真価が認められていないと思ったのが原因ではないだろうか。部下は、上司に評価されたいとの欲求を持つ。正当な評価を受けられないと感じていたマルモンの心の針は、臨時政府が自分を評価してくれ、新しいポストを提供してくれた時、彼らに向かって大きく傾いたのだろう。それに対しパスキエは、自分が毎日作成する日報でナポレオンに市井の声を届け、和平政策の重要性を主張していた。ナポレオンの政策がそれと合致しなくなった時、彼から離れる決意をした。2018/08/06