出版社内容情報
東京で派遣社員として働く琴美は、父親の介護のため30歳で札幌へ戻るも、大事な「推し」がいたから後ろ髪を引かれたまま日々を過ごす。閉鎖的な環境の中、生き続けるためのよすがを求めて懸命にもがく姿を描き切った、著者の新境地。
【目次】
内容説明
東京で派遣社員として働く30歳の琴美は、アイドルの「ゆな」を知り退屈な日々に一筋の光が訪れる。だが、北海道の父親が倒れ、介護のため実家へ戻ることに。閉鎖的な環境、明るい展望も見えない中、生き続けるためのよすがを求めて懸命にもがく姿を描き切る。
著者等紹介
河〓秋子[カワサキアキコ]
1979年北海道生まれ。作家。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。14年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、同作で15年度JRA賞馬事文化賞、19年『肉弾』で第21回大藪春彦賞、20年『土に贖う』で第39回新田次郎文学賞、24年『ともぐい』で第170回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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piro
36
リアルで他人事とは思えない、身近にある困難がチクチクと胸を刺す物語。東京での派遣社員生活を捨て、軽度の要介護者となった父の世話をするべく故郷の札幌に戻った琴美。幼い頃から出来の良い「A判定」の妹と比べられてきた「D判定」の琴美の、小さな、でも逃れられない屈託が息苦しい。父(や飼い犬)の老いと言う避けられない問題は、そう遠くない将来、自分にも降りかかって来る事だけに、読んでいて気持ちがざわつきました。琴美の唯一の楽しみである「推し活」に救われた感。生きて行くには何かしらの楽しみが必要という事だろうか?2025/12/02
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
19
老いた父の介護のために東京から北海道の実家に呼び戻されたところ、コロナ禍となる。それでなくても難しい父とのやりとりがさらに難易度を増す。表題の「D」とは父のお気に入りのできのいい妹との対比であるとわかった時点で、物語を読み進めることに一気に気が重くなる。妹と比べられることでどんなことがあったか、どんなことがあるか、どんなことが起きるか、それらが見えてしまったから。救いとなるのは推しとなったアイドルの存在。コロナ禍でのアイドル状況もうまいこと書いてるなあと思いました。一見ハッピーエンドには、ちょっと無理や↓2026/01/05
イシカミハサミ
15
河崎秋子さんが描く現代劇は 介護がテーマ。 教育者だった父。 昔から覚えがめでたく、今は遠くアメリカで暮らす妹。 主人公は東京暮らしで推しを見つけたが、 介護のために北海道に移住する。 コロナ禍も重なって、 価値観と価値観が交差し、 ときに衝突し、ときに混ざり合い、ときに和解を生む。 決して“できた娘”ではない。 優等生ではない“評価D”だからこその 行き詰まりとこれからの物語。2025/12/07
ナオ
7
面白かった。東京で派遣社員をしていた主人公が、父の介護のために札幌へ戻ることに。冬の札幌で、父と飼い犬との暮らし。その中での慰めは推しのアイドルだけ。この小説の中でコロナの時期が描かれていて、 確かに雪祭りの時期から、どんどんマスクが品薄になって…と大変な時期だったけど、何だか懐かしく感じた。主人公に最後に訪れる恩寵とゆーか、奇跡みたいな情景が凄くよかった。主人公が意外に意地悪で、ご老人に席を譲った後の感じとか思わずニヤリとしてしまいました。2025/11/19
KT1123
3
札幌で塾を経営していた父が要介護になり、東京から実家に雪かき要員として呼び戻された琴美。父の老いとどう向き合ったら良いのか、という葛藤が、エグいくらいのリアリティで迫ってきました。この作品では、父はそこまで人手を必要としないレベルだけど、それだけに、父も自分の老いを受容できないし、それに対して娘としてはどう振る舞うべきなのか悩む琴美の姿は、多分そう遠くない自分の将来なので、他人事とは思えませんでした。2025/12/10
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