出版社内容情報
【目次】
内容説明
父の遺品整理に集まった常盤家の三姉妹。その場で末妹の美紀が提案したのは、実家の売却だった。同居して父母を看取った長女の智代は、その勝手な振る舞いに激しく反発するが、そこには、決して家を売れない秘密が…。表題作他、各世代の女性を取り巻くミステリ短編集。
著者等紹介
矢樹純[ヤギジュン]
1976年青森県生まれ。作家。弘前大学人文学科卒業。実妹との「加藤山羊」の合同ペンネームで、2002年に漫画原作者デビュー。12年、第10回「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で小説家デビュー。20年『夫の骨』に収録された表題作で、第73回日本推理作家協会賞短編部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
116
珠玉の短編集の一冊。さすがの読み応え。一話読むごとに面白さがぐんぐん上がっていく全七話。相変わらずどれも最初の一文からざわざわしてくる。"今"に疲れている女性達を感じながら、すぐそばの現実を感じながら、そのざわざわが次第にざらざらに変わりゆく感覚がたまらない。そしてミステリらしく、それまで見ていたものが鮮やかに姿かたちを変えた時、ざらざらの粒が一気にさらさらと流されゆく。でもね、一粒だけ残るのよ、小さなざらざらの欠片が…。それが何とも矢樹さんらしくて、やっぱりしっかり感嘆の吐息。女の心は実に深い、面白い。2025/09/23
いつでも母さん
101
7話の短編集。『誰にも言えない秘密』それ読んじゃぅて良いの❓️怖い怖い。ザワッとしたり、ゾクッとしたり、イヤ~な感じだったり··読みながら私の想像力もアレコレと迷走していた。一番驚いたのは『ずっと、欲しかった女の子』納得のラストは表題作にもなっている『罪の棲家』2025/09/29
タイ子
66
7つのミステリ短編集。どれも面白い。何よりラストで見せる物語のオチがそうだったのか!って思わず唸ってしまう。「3年目の帰還」は冒頭、兄嫁から兄の遺骨が見つかった知らせがあり、そこから物語は遡って主人公が嫁いできてからの暮らしが語られるわけだが、最後に全てが見えて来る予想外の面白さ。タイトルの「罪の棲家」は姉妹が相続する家を売るという三女。絶対家を解体してはならぬという父の遺言で長女は猛反対。家に何か秘密があるのか?腰くだけになりそうな結末。どれも矢樹さんの巧さと読者が喜ぶツボを心得ている作品集。2025/09/20
小説を最初に書いた人にありがとう
52
やはり、矢樹純は天才だと思う。短編ミステリーでありながら出だしから心をざわつかせ、どういう結末を迎えるのかと気持ちを鷲掴みにしながら、想像を超える結末で驚かせる。結末がおどろおどろしい作品やイヤミスと言われるオチは他の作家でも見るが、時には感動したり、痛快だったり、清々しかったり変幻自在なのは矢樹純だけだと思う。タイトルにもなった罪の棲家、最高でした。2025/09/15
きりん★
41
あとで読もう、と置いていたはずなのに。一作目から最高のイヤミス話😆もう面白くて読む手が止まらない。矢樹さんのこういう短編集が好き!!どの作品も最後うわー🤣って結末があってクセになる。どれも面白いが一番心に残ったのは「嘘つきと犬」これは人間の悪が張り巡らされてイヤな読後の気持ちが残る強烈さがすごい。2025/09/27