出版社内容情報
泉鏡花文学賞受賞作。年寄り海女と水産学校卒の孫との異色海洋冒険小説。天皇海山列、春の七草海山、海底につきささる戦時の潜水艦。円熟した作家がユーモアのある名うての文体で挑む傑作長編。解説・綿矢りさ
【目次】
内容説明
潜った海の海図作成に余念がない年寄り海女と水産学校出の孫との、異色の海洋冒険小説。天皇海山列、春の七草海山、海底につきささる潜水艦。円熟した作家が名うての文体でいどむはじめての「戦争小説」、泉鏡花文学賞受賞作。
著者等紹介
村田喜代子[ムラタキヨコ]
1945年福岡県生まれ。作家。87年『鍋の中』で芥川賞、97『蟹女』で紫式部文学賞、98年『望潮』で川端康成文学賞、99年『龍秘御天歌』で芸術選奨文部大臣賞、2010年『故郷のわが家』で野間文芸賞、14年『ゆうじょこう』で読売文学賞、19年『飛族』で谷崎潤一郎賞、21年『姉の島』で泉鏡花文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りつこ
28
面白かった~。以前読んだ「飛族」と同じ系列になるのか? 85歳になった海女のミツルが語り手。この島では85歳になると倍暦といって年齢を倍に数える風習があり、それは大昔の天皇と同じらしい。 同じ海女仲間の婆たちと潜った海の海図を作ったり海関係の儀式に呼ばれたり地元の海に沈んだ潜水艦を探したり…。 婆たちは冒険心と好奇心とユーモアに満ちていてとても頼もしい。それは「飛族」と相通じる。彼女たちの目を通して見る戦争の生々しさは「国と国との尽きぬ喧嘩の途方もなさ」という言葉に集約されていると思った。読んで良かった。2025/08/26