出版社内容情報
江戸のはずれ、目黒の尼寺・千光寺には、悩みを抱えた女たちが集まってくる。死んだ夫と姑への怒りが冷めやらぬ妻や、母から逃げてきた娘など、その悩みはいろいろ。女同士話して聞いて、庵主の慈恵尼と野山を歩き、野山の恵みで食事を作り、いただくことで、女たちは少しすっきりとして、来たときよりも少し前を向けるようになって帰っていく。たやすく解決しない人生の難問に優しく寄り添う、癒し家書き下ろし時代小説新シリーズ!
内容説明
江戸のはずれの尼寺・千光寺には、悩みを抱えた女たちが集まってくる。手放すことができない苦しみを輪になって話し、庵主・慈恵尼の心づくしの精進料理をいただくと、ほんの少し前を向けるから。生老病死と向き合う女同士の思いやりが沁みる、書き下ろし長編時代小説。
著者等紹介
五十嵐佳子[イガラシケイコ]
山形県生まれ。作家、フリーライター。お茶の水女子大学文教育学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ときわ
5
最近、時代小説なんだけど中身はかなり現代的というのを続けて読んでいる。そういうのがたくさん出版されているからかな。これもそうだった。悩みを話すことで心が軽くなる、そんな場を尼寺の庵主様が提供。最初の内は軽やかに解決してふんふんって感じで読んでたけど。庵主様の下で一緒に話を聞いている和清尼の視点が物凄く苦い。悩みを打ち明ける女たちは恵まれている、どれだけ恵まれているのかを知らないと自分の中から毒があふれてくると感じてしまう和清尼。そしてまた優しい良い人は嫌いだと心を閉ざす少女を尼寺に迎えた。続きを読みたい。2025/04/03
りょう
4
千光寺という尼寺に集まっている尼さんと、近所の女性たちの物語。地味だけど、おいしい野菜や野草を食べて、語らう人生の辛いこと。それをどう昇華して生きていくか、宗教って、今じゃかなりいかがわしく思われることもあるけど、その原点はつらい人生の生き方なんだろうなあ、と思ったり。どうも、続きそうなので続編も待ちます。2025/05/05
しろまち堂
1
尼寺・千光寺での物語。精進料理や野草料理がよく出るが、食事の印象は書き込みのわりにやや弱め。 五十嵐佳子の作品はほのぼのした内容が多いので、この本もそんな感じかなと期待したのだが、語り口は柔らかくても、作中の女性たちから語られる過去や現在出来事にやや重いものが多く、表紙とのギャップを感じた。 とはいえ面白くないわけではないし、登場人物たちのその後も気になるので、続刊が出たら引き続き読むと思う。2025/05/11
タマサブロウ
1
江戸のはずれの尼寺で、野草を使った精進料理を囲み、女たちの話を聞く尼さんの話。嫁姑、介護、母の重すぎる期待など、現代にも通じるお悩みもありますが、お武家様とかからむとややこしくなりますね。和清尼さんがすごい。2025/05/02