出版社内容情報
毛利新助、塙直政、荒木村重、津田信澄、彌助。野心や野望があるがゆえに、運命に翻弄された信長の家臣たちを描く短編集。朝日文庫版に際し、不遇の幼少期を過ごし、美濃の有力国人・遠山氏に養子にやられた信長の五男、源三郎の復讐を描く「覇王の血」を新たに収録。
目次
果報者の槍
毒を食らわば
復讐鬼
小才子
王になろうとした男
覇王の血
歴史座談会 新しい信長像 そのカリスマと狂気
高橋英樹/伊東潤/本郷和人
解説 高橋英樹
内容説明
今川義元の首を獲った毛利新助の懊悩、臣下に謀られ一族を虐殺された荒木村重の復讐、黒人奴隷となって売られてきた彌介の忠心など、信長の家臣たちの野心と生きざまを描いた異色の短篇集。新たに信長の五男・源三郎の復讐を描く「覇王の血」を収録。
著者等紹介
伊東潤[イトウジュン]
1960年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業。2011年、『黒南風の海―加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』で第1回本屋が選ぶ時代小説大賞を、13年、『国を蹴った男』で第34回吉川英治文学新人賞を、『巨鯨の海』で第4回山田風太郎賞と第1回高校生直木賞を、『義烈千秋 天狗党西へ』で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞を、14年、『峠越え』で第20回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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晴
5
実力があれば身分を問わず出世できたとされる、戦国の風雲児・織田信長のもとで仕える6人の男たちの物語。特に「果報者の槍」「毒を食らわば」「覇王の血」がよかったです。早々に出世競争から離脱し、自分の適性に従い黙々とやってきた新助と頭脳派で野心家であることを原動力として出世してきた直政の対比がなんともいえない。あと「覇王の血」の源三郎の最期はあっぱれと思う反面、戦国の世の残酷さを感じました。伊東先生、本郷先生、高橋英樹さんの座談会もおもしろかったです。高橋さんが演じる、光秀見てみたいかも。2025/03/04
茶幸才斎
2
家格や旧弊に囚われず能力と結果を重んじる一方、一縷の失敗も赦さぬ絶対の支配体制により天下の階を突き進む織田信長の発する苛烈な炎は、家臣らの人生をも炙り焦がす。今川義元の馘を獲った毛利新助、弁舌に命を張る塙直政、野心を内に秘める荒木村重と中川清秀、殺意を抱く甥の津田信澄と五男織田源三郎、強く魅惑される黒人従者の彌助、歴史を変える明智光秀、そして羽柴秀吉。下天は夢幻と達観し、乱世を武の炎で組み敷いた末、その身を謀反の火で焼かれゆく織田信長にして初めて到達できる心境かもしれない。げに楽しき日ノ本であるな、とは。2025/01/29
グランくん
1
信長の家臣達を描いた短編集です。 ・桶狭間で、義元の首を獲った毛利新助のその後 ・桶狭間の後、松平元康とそして浅井長政との同盟を成し遂げた塙直政のその後 ・中川清兵衛に陥れられ、復讐を試みる荒木村重 ・信長の弟である父信勝を信長に討たれた恨みを晴そうとする信澄の姿 ・アフリカで捕らえられ、信長の家臣となったヤスケ の五篇が収められております。2023/07/05
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