内容説明
遊郭での事件を一手に担う面番所。密閉された部屋での殺し、下手人の足跡の消えた雪道…数々の難事件を解決し、人望の厚い同心の木島平九郎は死の床で、かつて、客と心中した花魁がすべての謎を解いたのだと打ち明ける。在りし日の花魁の姿は、彼の心を来し方に誘って―。
著者等紹介
戸田義長[トダヨシナガ]
1963年東京都生まれ。早稲田大学卒。2017年、『恋牡丹』が第27回鮎川哲也賞最終候補作となる。18年、同作を大幅に改稿してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
45
かつて吉原遊郭にはミステリアスな花魁探偵がいた。約40年、遊郭で起こる事件を捜査する面番所に勤めた木島平九郎は今、死の床につき、在りし日の事件の背景を妓楼・相模屋の楼主に語り始める。その思い出話は、ひとりの花魁の優れた洞察力と推理力、そして壮絶な最期の背景を浮き彫りにしていく。表に出ることの無かった彼女の活躍が今になって語られるその理由とは何か。数々の難事件、時代に関わらず、事件の真相には必ず誰かの思惑と焦りが隠れていると思わずにはいられなかった。運命という見えないものに翻弄される花魁の生き様に胸が痛い。2025/06/08
四弦桜
18
江戸吉原遊廓の面番所元同心の木島。床に伏せる中妓楼の若楼主に語って聞かせる過去の五つの難事件。 全ての事件を解決に導いたのは一人の花魁だった‼️ 真相、伏線回収にゾクゾクさせられるもしかしながら遊廓で懸命に生きた花魁達に思いを馳せる。 素晴らしい作品だった✨2024/12/27
モルワイデ鮒
7
吉原の遊女 夕顔が謎を解く。密室や死に際の伝言など、事件の謎解きの面白さに遊女の哀しみがまとわりついて、不安でザワザワな読み心地。序盤に出てきたあの名前と深雪の美々しい笑顔に「おっ」となる。普段あまり見慣れない言葉や、吉原の中の色んな事が知れるのが面白い。桶伏イヤすぎる。2025/04/25
harukawani
6
物理トリック多め。少し拍子抜けするようなのもあるんだけど、この時代の吉原が舞台だからこそのトリックばかりで良い。吉原の文化やしきたりも知らないことばかりで、時代小説としても楽しめた。2025/05/21
陽ちゃん
6
病に倒れた面番所同心の木島が、訪れた妓楼の主新兵衛に、今は亡き花魁夕顔に助けられて解決した事件のあらましを語る流れですが、最後に大どんでん返しが。そして、終章でもう一度びっくり。2024/11/07