出版社内容情報
長年書き継いできた『南総里見八犬伝』も、おぼろになった視力では、もはや筆を折る以外なかった。不安と焦りにいら立つ馬琴の最後のよりどころは、嫁のお路よりない。無愛想で気働きに欠け、無教養な彼女が果たして馬琴の目になれるのか? 解説・細谷正充。
内容説明
息子を病で亡くし、妻は馬琴の仕事・努力・苦しみを理解しようともせず、息子の嫁・お路は無愛想で思いやりに欠けていた―。諦めの境地に至っていた馬琴だが、やがて左目の視力をも失う。失意の馬琴に『八犬伝』の代書を申し出たのは、お路だった。
著者等紹介
杉本苑子[スギモトソノコ]
1925年東京生まれ。62年に『孤愁の岸』で直木賞、78年に『滝沢馬琴』で吉川英治文学賞、86年に『穢土荘厳』で女流文学賞を受賞。2002年に菊池寛賞と文化勲章を受けた。17年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シロナガススイカ
11
「『八犬伝』の筆記、わたしにさせていただけないでしょうか」/八犬伝はこうして完成した。/ああ、面白かった。読む前まではこれといった印象を持たない馬琴先生だったけども、なかなか実直で良いお人。堅物かつ幼稚という側面を併せ持ちつつも、諦観の境地で描き続ける姿は、さすが歴史小説の主人公にもなる人だと、逆説的に尊敬の念を抱いた。今か今かと待ち焦がれたお路の代書は終盤も終盤。彼女からの提案も急であったように思われるが、それも強調され続けた無愛想な性格ゆえと捉えるべきか。困難を超えての完成には、思わず涙腺が緩んだ。2025/10/27
ナジィ
0
根性で読み切った感あり。2025/09/30




