出版社内容情報
元同心のご隠居・森口慶次郎を支え続ける、岡っ引の辰吉や吉次、飯炊きの佐七や嫁の皐月──。本書では、名脇役の彼らが主役になり、粋で心に沁みる人生模様が描かれる。「慶次郎縁側日記」ファン必読の書! 解説は吉次を演じた奥田瑛二氏。
内容説明
元同心のご隠居・森口慶次郎を支え続ける、岡っ引の辰吉と吉次、飯炊きの佐七や嫁の皐月。本書では、名脇役の彼らが主役になり、背負ってきた人生と素顔が明かされる。佐七の不器用な青春時代、吉次を捨てた元女房への断ち切れぬ思い。粋で心温まる8編。
著者等紹介
北原亞以子[キタハラアイコ]
1938年東京生まれ。69年「ママは知らなかったのよ」で新潮新人賞を受賞しデビュー。89年『深川澪通り木戸番小屋』で泉鏡花文学賞、93年『恋忘れ草』で直木賞、97年『江戸風狂伝』で女流文学賞、2005年『夜の明けるまで』で吉川英治文学賞を受賞。13年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふう
63
「慶次郎縁側日記」のシリーズに登場する脇役7名を主人公にした短編集。作品では脇役でも、当然のことながらそれぞれが、その人の人生においては紛れもない主役です。慶次郎が手放しで『恵まれた人生』を送っていないように、どの人物も人や仕事やお金との縁に恵まれず、その日その日、何とか気持ちのやり繰りをして生きています。ささやかな喜びや矜持が、今にも崩れ落ちてしまいそうな彼らを支えています。そんな彼らを主人公にしたこの作品は、悲しみや傷みを抱えながらも、明日へと歩き出す彼らへの静かな応援歌ですね。2024/02/05
オールド・ボリシェビク
3
「慶次郎」シリーズに登場するさまざまな脇役たちの立場、視点から物語を再構築していく短編連作とでもいおうか。それぞれが背負北原愛子ってきたもの、歩んできた道があらためてくっきりと描き出され、このシリーズに深みを与えているように思う。北原亞以子、省略の美学というか、物語を執拗に描くことをしない。さっと、筆をなぞるように物語を締める。その技に、最近は感心するようになってきた。2024/01/28