出版社内容情報
片田舎での暮らしをきらう高校生の奈緒は、東京から越してきた亜矢子と親しくなる。しかし、それを境に村の空気は一変し、亜矢子の口数も少なくなってしまう。疑念を抱く奈緒は、密かに彼女の自宅に忍び込もうとするが……。解説・西上心太。
内容説明
「お盆が明けたら、魂はあの世へ帰るんだよね?」地蔵を信仰する集落で育った高校生の奈穂は、東京からの転校生の言葉に胸騒ぎを覚える。一方、村の老人たちは余所者に異常なまでの警戒心を抱き始め…。村の因習が綻ぶ時、脈々と息づく恕嗟の声が木霊する!
著者等紹介
川瀬七緒[カワセナナオ]
1970年福島県生まれ。2011年『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。21年『ヴィンテージガール 仕立屋探偵桐ヶ谷京介』で第4回細谷正充賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tenori
39
ホラーミステリーながら島国日本に息づく排他的文化の根源を再認識させられる社会派小説の側面も。作者の出身地福島県が舞台なのも肝。集落への移住者を排除したがる風潮を震災の風評被害になぞらえて『簡単にあっち側へ行ってしまうのか』と問う主人公・奈穂は熱い。明かされる地蔵信仰の本質と連鎖する不可解な現象。集落という閉鎖的かつ濃密な運命共同体ゆえの暴走に否応なく向き合わされる奈緒の選択は賛否が分かれるだろう。それにしても逆さ吊りの女って。恐すぎます。2024/10/05
倉屋敷??
5
よそ者を嫌い閉鎖的で色々な因習が残る集落が舞台。 そこに東京からある一家が越してきて…。 ずっと何が起こるわけでもないのに不気味な雰囲気を漂わせながらいつの間にか引き込まれてた。 そしてこの結末は結構珍しい終わり方で新鮮でしたね!2024/03/15
なつの
4
川瀬さんの『よろずのことに気をつけよ』がめちゃくちゃすきなのだけど、同じ人にはぜひ読んでもらいたい。 田舎の因習✕ホラー✕ミステリがとてもいい塩梅。 主人公が好感度高く、読みやすい。2023/12/10
ぐちょぱ
2
排他的で閉鎖感漂う村や因習に縛られる老人達に不満を抱いている主人公は、自分の憧れである都会からやってきた同い歳の子と出会うのだが、それを境に事件が起きていき、、、 今まで見えていたものが終盤で一気にひっくり返る展開が気持ち良かった。 外へ行くことを望んでいた主人公が最終的には内に留まる選択をするしかなく、友人になれるかもしれないと思っていた人物とは歪な関係性になってしまうのが好み。2025/06/22
スクラムトライ
2
舞台は地蔵を信仰する集落。 よそ者を異常なまでに警戒し排除しようとする。 今も残る山奥の村の話しかと思いきや、その集落で育った女子高生が東京からの転校生の言動に違和感を感じる。 そして人が死に村の因習が綻んでいく。 ある意味最高に怖い作品でした。2024/03/05