出版社内容情報
ふいに手に入れた5カ月の休暇、サバティカル。日常から外れた場所で導かれるようにひとと出会い、僕は人生の宿題〈ひとを好きにならないこと〉に向き合い始める。ひとの結びつきのかたちを新たに問う、挑戦作。《解説・吉田恵理香》
内容説明
ふいに手に入れた5ヶ月の休暇、サバティカル。日常から外れた場所で導かれるようにひとと出会い、僕は人生の宿題“ひとを好きにならないこと”に向き合い始める。ひととの関係を新たにひらく、希望の物語。
著者等紹介
中村航[ナカムラコウ]
1969年岐阜県生まれ。作家。2002年『リレキショ』で文藝賞を受賞しデビュー。04年『ぐるぐるまわるすべり台』で野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいきち
51
転職をして、次の会社の出勤日までは5ヶ月ある。その期間に、やりたいことリストを作ってひとつずつ消費する梶くん。退職した次の日に、カフェでモーニングBセットを頼んで、自由と解放のホットドッグを食べ、安らぎと落ち着きのコーヒーを飲む…最高じゃないですか。ただこの梶くん、何となく感情に乏しいし普通と違う?そっか、恋愛感情か…。他人に恋愛感情を抱かない、『アセクシャル』の梶くん。今は色々な恋愛の形があるけど、どの恋愛も統一された形なんて無いですよね。男女のアレコレだけが恋愛じゃない。人間愛を再確認するお話でした。2023/10/01
なみ
19
5ヶ月間の休暇を手に入れた梶くんが、普段はできないこと、するべきこと、してみたかったことをこなしていく話。 古墳、アコギ、フェルマーの最終定理。 師匠との出会いからの人捜し。 母娘との温かい交流。 軽やかな筆致で描かれる梶くんのサバティカルが楽しかったです。 だけどもちろん、彼には悩み事もあって──。 梶くんが過去を話すシーンは、すごく臨場感があって、まるで目の前に本人がいるかのように感じました。 とても素敵な梶くんに、出戻り歓迎の場所が増えるといいなと思いました。2023/09/27
グレートウォール
13
サバティカルとは長期間の休暇の意味。 主人公は転職で次の職場で働くまだの数ヶ月お休みになってしまったことから物語は始まる。 休みの使い方やそこで起こる事柄から成長する話かと思いきや、意外な方向に話は転がり出す。 これは成長でも、休みの使い方でもなく、多様性を受け入れようという話だった。 長い休みを取ると、どこかのタイミングで昔を振り返り、そしてそこから考えを巡らせることがある。その時悲しい気持ちにもなることがあるし、でも今なら解消できる何かがあるかもしれないとも思った。2023/08/19
イシカミハサミ
12
サバティカル: 「長期休暇」「長期有給休暇」「長期充電休暇」「特別研究期間」 転職の間にぽっかり空いた5か月の空隙。 充実した休暇にするため アプリを利用して“やりたいことリスト”を作ってひとつずつ実行していくけれど……。 思わぬエンディングだった。 看板に書いておけばもっと作品として注目も浴びることができそうだけれど。 まあ、この看板が世の中で目立っているうちは 世の中はまだまだ、ということでしょう。2023/10/07
うさぎ
4
戻ってきても大丈夫って言ってくれると新しい場所でも寂しくならない気がします。梶くんのサバティカルはとても有意義で楽しそうで、私も長期休暇が欲しくなりました。2023/11/12