出版社内容情報
生きづらさを抱えながらも“いま”を愉しむ女たち不倫の代償、夫の裏切り、虚ろな生活――あらゆる幻想を塗り替える女性をめぐる本当の関係結婚したばかりの男に思いを寄せる作家志望の美玖。編集者の弓子は不倫する夫を監視しながら自尊心を守ることに必死だ。インテリアデザイナーのユリは仕事も家庭も充実しているように見えるが、本当の生活が見通せない。女たちの新たなつながりを描く物語。「女たちは寄り添ったり突き放したりを繰り返す。本の中の物語が終わったあとも、三人の女がグラスをぶつけ合う様を想像してついほくそ笑んでしまう。(……)本人のいないところで陰口を言いたくなる悪友のような小説だ」(王谷晶「解説」より)
内容説明
結婚したばかりの男に思いを寄せる作家志望の美玖。編集者の弓子は不倫する夫を監視しながら自尊心を守ることに必死だ。インテリアデザイナーのユリは仕事も家庭も充実しているように見えるが、本当の生活が見通せない。女たちの新たなつながりを描く物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aoringo
89
20代、30代の三人三様の女性たち。不倫、嘘、友情、など悩みは尽きない。自分が属するグループにはいないタイプの人達だ。自らの気持ちを伝えるのに理屈っぽいセリフがずらっと並ぶ。こんな感じに理詰めで問い詰められたら相手はぐうの音も出ないのでは。こういう考え方もあるのかふーんとちょっと他人事。初読みの作家さんだったけど他にもいろいろ読んでみよう。2023/09/04
優希
44
女性3人の日常がドラマのようでした。それぞれの生活がまさに新たなつながりを生み出していると言えるでしょう。面白かったです。2024/07/13
ワニニ
40
私なんか古い人間だから?固いから? 付き合う相手とは(女でも男でも)分かり合いたい、どこまでも把握したいと思うし、誰にでも忖度しまくりのお付き合い、自虐の人生だけれど(笑)、それって非常に疲れるんだよね。これを読んで、分かり合えないということを分かり合うような感覚、けっこうイイなと思った。エグさに付いていけないかもしれないけれど(笑)大変でも辛くても悲しくても、3人みたいに話したり、付き合ったり…胡散臭いのがイマっていう感じ。それにしても、女友達と、怖いけれどしゃべりまくりたい気持ちになった、コロナ時代。2023/01/23
ざるこ
35
著者初読み。夫に浮気されてる弓子37才、家庭も仕事も充実してそうな謎な女ユリ32才、結婚したばかりの男と寝てしまった美玖28才。3人の女はたまに会う飲み仲間。まずはその飲み場面から始まるが…なんとも。不自然なほどのあけすけな言葉遣いがちょっと気持ち悪い。3人の関係が友達と言えんだろ!とツッコミたくなるぐらい、心の中ではお互いを蔑みマウントをとっている。歪で不思議な仲でもたまに親身に寄り添ったりする。世の中こんな関係もあるのかな。居心地悪い気色悪さを描きたかったなら成功してると思う。一気に読んじゃったし。2024/12/01
ゆみのすけ
30
飲み仲間の女性3人。不倫という許されざる叶わぬ恋に身も心も費やし、傷心気味の28歳美玖。夫が女を作って出ていき、でも何とか夫を取り戻そうと必死な37歳弓子。そんな2人を冷めた目で見て、毒を吐く32歳ユリ。年齢も職業もバラバラで、価値観も違う。でも、定期的に飲みながら互いの近況を語り聞き合い、何かを共有し合っている。金原さんの独特の言い回し、女達の明け透けな会話にヒリヒリする。生きづらさを抱えながらもがき、懸命に前進しようとする3人が生々しくて、ヒリヒリして、いい。2024/07/21