出版社内容情報
北村薫[キタムラカオル]
著・文・その他
内容説明
「胸の内から湧き出る、本当の、ぎりぎりの真情をこめて“生きていて”と願ってくれる人なんて、誰もいるわけない―と思ってた」。人生における代えがたい他者との交わりを、3人の女性同士の友人関係から描ききった、心揺さぶる傑作長編。
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949年生まれ。91年『夜の〓』で日本推理作家協会賞、2006年『ニッポン硬貨の謎』で本格ミステリ大賞(評論・研究部門)、09年『鷺と雪』で直木賞、16年日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
117
しみじみとした三人の女性の友情の物語である。四十を超えた女性たちは何を思い、日々を 過ごすのか…穏やかな四十女の慎みが 奥ゆかしい。朝日新聞連載作品らしく、 淡々とした大人の女性たちの物語だった。2022/10/01
あんず
10
最初、とても読みにくくてなかなか読み進められなかった。でも読んでいくうちに、作者の豊富な語彙力に慣れ、いろんな表現があるんだなぁと驚きながら読み進めた。前作もとても好き、今回も良かった。日常の中の小さな変化を大切に掬い上げて物語がすすんでいく。悲しいことも、嬉しいことも、瞬間を逃さずに焦点を当てていく。日常を生きて生き抜く、大切だなと思った。2024/07/01
海燕
9
初めて読んだ著者さん。このような四十代女性3人の友情を描いた小説も初めてで、何というカテゴリーなのかもよく分からない。強いてカテゴライズする必要もないのでしょうが。女性の友情、女性の著者、と疑いもなく思い込んでいたら、著者は男性(失礼!)。男性がよくこの題材で書かれたなあと感心することしばし。途中まではなかなか読み進められなかったが、後半は一気に。この歳になると病気もするし、離婚も恋愛もある。何故だか、最後は何度も涙が出てきて自分でも驚く。著者は「命」「生きる」ということに光を当てるのが上手いのだろう。2023/07/17
GORIRA800
8
ひとりの人間が絆で結ばれた友人たちの中からいなくなってしまう そのことについて意味を考えてしまう おそらく悲しみがあるんだろうけれど結構さばさばとしたすっきりとする部分があるのだと思う 親子以外にも友人として自身の死を見届けてくれるひとって不安面が薄くていいなって思う 昔かりの絆を大人として、続けていく姿が素敵だった2023/03/18
ありん
6
子供の頃からの友人3人の女性の交流をきめ細かに描いた小説。離婚し、シングルで子育てしてるひと、再婚し実の親子のような父と娘、長い独身生活の後、運命と思われる人と結婚した人。 それぞれが、長く会わなくても、この世に生きて、存在してくれているだけで、心の支えとなるような関係の3人の生き様を描いた秀作と思う。2023/01/11