出版社内容情報
心に残る昔の味、忘れていた大切な風景を紡ぎだすベストエッセイ集。両親の離婚後、ともに暮らした祖父母の思い出、忘れられない芝居や映画や本、旅の記憶など。東京下町の懐しい日々と、時代小説の名手として過ごす充実した日常を綴る。解説・平松洋子。
内容説明
夜更けに書斎へ入ってくる飼猫のサム「人間以外の家族」、炊きたての飯と焼き海苔「昔の味」、毎日欠かさずにつける「食べ物日記二十年」、安らぎをあたえてくれる「日本の宿」など。忘れられない味、旅の記憶、日常を鮮やかに描いたエッセイ42編を収録。
目次
1(セトル・ジャンの酒場;時の過ぎゆくままに ほか)
2(ハマ空とカフェ・スペリオ;立版古 ほか)
3(挿話;桂文楽のおもい出 ほか)
4(サン・マロの短銃;ニースとマルセイユ ほか)
巻末対談 山本一力×重金敦之―生き方を教えてくれる池波さん
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923年東京生まれ。小学校を卒業後、株式仲買店に勤める。戦後、東京都職員となり下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。60年「錯乱」で直木賞、77年「鬼平犯科帳」その他により吉川英治文学賞、88年菊池寛賞を受賞。90年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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剛腕伝説
10
一見薄情そうな池波正太郎。猫に対する愛情は細やかだ。2歳の雄猫トントが、自宅前で自動車にはねられたとき、妻は塀にしがみついて泣き叫んだと言う。雌猫のネネは正太郎の書斎が好きだった。正太郎は仕事が終わると、雌猫のサムと一緒に水割を飲む、何とサムも一緒に水割をピチャピチャやり、やがて正太郎の横で眠ってしまう。可愛くてたまらなかった様だ。2025/04/25
ネグセマン
1
夏場所の編が特に良かった。大関若乃花の稽古場面を見て、ただ何となく原稿を書いていてはだめだ。自分の、独自の発想を積み重ねなくては、と思うところが心に残った。夏場所という題名もぴったりくる。2022/09/09