出版社内容情報
舞台は幕末の江戸、八丁堀~日本橋界隈。21歳の山村結実は、産婆見習いとして、師匠である祖母の家で、同じく見習いのすずとともに寝起きしている。今も昔も、出産は人生の縮図だ。歓迎されてこの世に生まれてくる子もいれば、若すぎる妊娠、妻子ある人の子の妊娠など、望まなかった妊娠もある。出産で亡くなる母子がいまよりずっと多かった時代、いろんな事情を抱えながら命がけで産もうとする女性たちに、自分は何ができるのか? 命が生まれる現場で、葛藤しながら成長していく女性の姿を描く感動作。書き下ろし。
内容説明
幕末の八丁堀界隈。安政の大地震で身重の母を亡くした結実は、12歳で産婆になることを決意する。お産で亡くなる母子が多かった時代、それぞれの事情を抱えながら命がけで子を産む女たちとともに喜び、葛藤しながら結実は成長していく。感動の書き下ろし長編時代小説。
著者等紹介
五十嵐佳子[イガラシケイコ]
山形県生まれ。作家、フリーライター。お茶の水女子大学文教育学部卒業。女性誌を中心に広く活躍。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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坂城 弥生
40
幸せなお産からそうでないお産まで。結実の成長も楽しみ。2023/11/14
kagetrasama-aoi(葵・橘)
40
「結実の産婆みならい帖」第一巻。幕末に産婆になるために修業をする女性(名前は結実、年齢は二十一歳)の物語。当時としては婚期をかなり過ぎている結実、でも、産婆の修業をしつつも恋もちゃんとしています。命をあずかる産婆という職業に真剣に向き合い葛藤する姿に涙が零れそうになりました。章ごとにお産があり、本当にそれぞれに赤ちゃんと家族の物語があり、温かい気持ちになったり辛い気持ちになったりしました。とても面白かったです。次巻も楽しみです。2023/11/04
のびすけ
31
産婆見習いの結実は、日々お産と向き合い、一人前の産婆さんになることを志す。結実が経験する喜びや悲しみ、悩みや葛藤。それらを糧に成長する結実の姿に心打たれる。命がけでお産に向き合う女性たちの前では、男はほんとしょうもない生き物だということを思い知らされる。この時代のお産事情、子育て事情、産婆さんの役目などとても興味深く面白かった。結実の恋の行方も、微笑ましい終わり方で良かった。2021/09/28
のんちゃん
30
幕末の江戸八丁堀界隈の診療所の娘、結実は祖母真砂のもと、産婆見習いをしている。同年代の同僚すずと三人で、この界隈のお産に臨場し、多くの赤ん坊を取り上げてきた。お産は今も昔も命懸けだが、その背景には子を生む女達のいろいろな事情があった。そんな中で結実は一人前の産婆に近づいていく、と言う話。初読みの作家さんだったが、非常に読みやすく、時代小説は女流作家さんが好きと言う私の好みが立証された。結実と結ばれて欲しい男性もいて、続編が出ないかと期待している。2021/09/22
すみっちょ
21
時代背景が思った以上に幕末だったのが意外でした。ハラハラしたり腹が立ったりした場面もいくつかありましたが、大体がいい方向に落ち着いたので良かったと思います。文四郎のことは気がかりなままですが…いつの時代もお産は命がけなんだと改めて実感。見習いだろうと産婦や赤ちゃんには関係ない、厳しい世界だと思いました。結実はまだまだ甘い所はあるものの、ずいぶん成長したと思います。個人的には、産婆の結実と医者の源太郎の二人で大地堂を継いで章太郎は絵師になってもいいんじゃないかと思いました。2024/12/29