出版社内容情報
ベルエイドの少年兵エルシアは、自らをとらえた敵国ハラの兵士に語りかける。絵が得意なハラの少年ファルドと過ごしたあの日々のことを……。架空の世界を舞台に、主人公が戦場に出るまでの物語を、美しく、そして苛烈に描く。著者渾身の一冊!
内容説明
ベル・エイドの少年兵エルシアは敵国ハラの兵に語りかける、かつてハラの友ファルドと過ごした色鮮やかな日々のことを。世界が戦争の影に覆われ、少年が戦場に出るまでの物語。児童文学出身の著者だからこそなし得た、少年たちの内面と友情を描く渾身の一冊。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。作家。青山学院大学文学部卒業。小学校講師ののち、作家デビュー。97年『バッテリー』で野間児童文芸賞、99年『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、2005年「バッテリー1~6」で小学館児童出版文化賞、11年『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
47
これはフィクションではなく、現在進行形で世界で起こってる事なんだろうな。2021/04/21
とんこ
24
隣り合う異なる民族がゆったりと交流しあう穏やかな日々。いつのまにか戦争が始まり、子供達は少年兵として戦場に送り込まれる。現実のあれこれと重ねて読んでしまうので辛い部分はありますが、丁寧に描写される、戦争前の2つの民族の交流や人々のくらしは透明感があって美しい。ストーリーや人物の行く末は読者の想像にまかせる部分が大きいので、余韻はありつつ個人的にはやや物足りなかったです。中学生くらいの子に戦争を考えてもらうのにはとてもおすすめ。2024/06/15
miaou_u
12
私にとってはNO.6以来の、あさのあつこさん。タイトルから既に辛いシーンを想像せざるを得ず、ISや今は、とりわけウイグルを想起してしまう。大人に、社会に、国に自由を抑圧されながらも、記号のようにイニシャルで呼び合う少年たちは、自我を、友情を胸に秘めてその身を国家に投じる。祖国の地、言語、名までもが喪われてゆく現実。流れる空気感こそ違うが、小川洋子さんの「密やかな結晶」でも描かれる、ディストピアな題材をメッセージ性の強い文学エンターテインメントに昇華したのが、あさのあつこさんの作品ではないかと思う。2021/05/20
parmigiano
5
歪んだ愛国心を植え付け、命を捧げるなんてあり得ない!と言えるのはほどほどに平和な日常を我々が過ごせていられるから。戦禍を望む人なんて誰もいないはずなのに、始まる戦争は誰の為?未来担う子供を思えば、戦争なんて…と思ってしまう。 辛い内容の中でも生きるとは?を考え、ファルドの白い花の息吹を感じる作品でした😢2023/03/19
YH
5
昨日まで友達だった隣人がいつの間にか敵国の人間として、殺し合う対象になる。感情がついていかないKのような反応ならまだわかるけど、あっさりと世情に流されて、迷いなく戦えるっていうことが恐ろしい。2022/11/27