出版社内容情報
老い衰える不安をいだく老人と、介護負担で疲労困憊の家族。介護する側の視点だけでなく、認知症の老人の心の動きをリアルに描き、親と子の幸せを探る。在宅医療を知る医師でもある著者が描く、書評・テレビでも話題になった認知症小説。解説は最相葉月氏。
内容説明
老い衰える不安をかかえる老人と、介護の負担でつぶれそうな家族。介護する側の視点だけでなく、認知症になった老人の心の動きも細やかに描き、親と子の幸せのかたちを探る。在宅医療を知る医師でもある著者が描く、迫力満点の認知症小説。
著者等紹介
久坂部羊[クサカベヨウ]
1955年大阪府生まれ。医師、作家。大阪大学医学部卒。20代で同人誌「VIKING」に参加。外務省の医務官として9年間海外で勤務した後、高齢者を対象とした在宅訪問診療に従事。2003年、『廃用身』で作家デビュー。2014年、『悪医』で第3回日本医療小説大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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TERU’S本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
89
解説者の言葉にあるように、この作品は、「久坂部さんが当事者となったこの体験なくしては書き得なかったのではないか。」。老い衰ろえる不安を抱える幸造と、介護の負担に押しつぶされそうな知之・雅美夫婦。介護する家族側の視点だけでなく、認知症を患う老人の心の動きも細やかに描き、親子の幸せとは何かを問い続ける。在宅医療を知る医師でもある著者が描く、迫力満点の認知症を扱った力作。作品の最後に書かれた「認知症は視点を変えれば介護者に偉大な力を与える。本作はその一つの証左である。」、この言葉は意味深い。人ごとではない。 2021/06/22
アッシュ姉
86
認知症という病は残酷だ。当人、介護する側、両方苦しい。何がつらいって治らないというのが一番しんどい。治そうと思わずに受け入れるという医師のアドバイスになるほどと思うものの、簡単には実践できそうにない。最近ますます物忘れがひどく、親の介護よりも自分が先に呆けてしまうのではないかと深刻になってしまった(漢字十個も出てこない)。認知症と向き合う心構えがほんの少しできたので、読むべき白羊本だった。2020/10/27
大阪魂
68
これも認知症のお話。「長いお別れ」はコミカルやったけど、この話はむちゃ生々しかった💦息子たちに迷惑かけんとこって一人暮らししてる五十川幸造の認知症がどんどん進んで、息子・知之とその妻・雅美は振り回されまくってまう…嫁たちの経済的な不安とか賠償リスクとかセクハラリスクとかへの悩みも生々しいねんけど、幸造の視点から認知症が進んでまうことの不安や絶望感もむちゃ伝わってきた…認知症の人は叱ったりしていやな思いさせたらあかん、ありのまま受け入れて楽しい気分にさせなあかんのやね…3人の性格ちゃう医者の言葉も響いた…2022/10/09
鍵ちゃん
39
老い衰える不安をかかえる老人と、介護の負担でつぶれそうな家族。介護する側の視点だけでなく、認知症になった老人の動きも細かくえがき、親と子の幸せのかたちを探る。迫力満点の認知症小説。認知症ではなかったが一昨年亡くなった義父を思い出し懐かしく読み進められた。笑いあり、涙あり、読み応え抜群。映画化かドラマでもいい、映像になってほしい作品でした。2021/03/05
GAKU
38
認知症が進行していく幸造の様子を読んでいて、高齢者の仲間入りとなった私には 人ごとでは無いなと実感した。子どもがいない私達夫婦にしたら、特に二人一緒に認知症になったらどうしよう......と不安がよぎる。元気なうちに色々と対策を考えておかないとね。面白かったけれど、同時にヘビーな内容でした。 2024/11/06