出版社内容情報
左遷部署「イノベーション・ルーム」に異動となった酒井のもとに「ニワトリは一度だけ飛べる」という題名の謎のメールが届く。送り主は、いったいどんなメッセージを伝えようとしているのか……。笑って泣ける重松節全開の作品が、いきなり文庫化。
内容説明
左遷部署「イノベーション・ルーム」に異動となった酒井裕介のもとに「ニワトリは一度だけ飛べる」という題名の謎のメールが届くようになる。送り主は酒井らを『オズの魔法使い』の登場人物になぞらえて、何かメッセージを伝えようとしているようなのだが…。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て執筆活動に入る。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、01年『ビタミンF』で直木賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞、14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。小説の他、エッセイやルポルタージュも多く手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
540
久々の重松さん作品。これはまぁまぁ好きな方に針が振れたほうだった(謎に上から)。社内誰もが知るリストラ部署に飛ばされた3人、敵方が送ったお目付け役のような上司(彼がけっこういい味出してる)のもと、それぞれに抱えた家庭の事情とともに反撃を始める・・・。チェ・ゲバラについてと、この物語でメタファーのように使われた『魔法使いのオズ』は読んでみたいなぁ、と思わせてくれたのも副産物。2024/02/08
ヴェネツィア
496
リアリティ云々を問題にしなければ、なかなかによくできた物語。前半では『オズの魔法使い』を下敷きに物語が展開し、そして後半ではゲバラで一気呵成に進んで行く。タイトルにも惹かれるし、『オズの魔法使い』になぞらえられた登場人物たちも(ステレオタイプであるとはいえ)それ相応に魅力的である。感想を読むと、あまり評価は高くないようだが、エンターテイメントと割りきって読むならば、結構上出来ではある。重松清のペーソスはたしかにやや薄いか。もっともその代わりに痛快で、あらる意味ではノスタルジックな物語でもあるのだけれど。2022/04/27
starbro
328
重松 清は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。最近立て続けに出版されている10年以上前に執筆されたシリーズ第三弾、オズの魔法使いリストラ部屋ゲリラ家族小説でした。興味深く読みましたが、今の時代には少し古過ぎてピンと来ません。今月は、本書で読了です。 2019/03/31
いつでも母さん
208
久しぶりの重松作品期待して読んだ。『・・という噓を、一度ついてみたかった。』と始めにあるので、どこかは本当なのだろうと。そうだね、どこかは真実なのだろう。そしてどこかは願望でもあるのだろう。平成にあった沢山の内部告発は今後もきっとあるのだろう。いや、もっとしたたかに繰り広げられるのかもしれない。リストラ部屋に追いやられた3人。会社は仕事は生活の糧。その時、自分ならどうする?我が子が病気だったら?妻の親が介護を必要としていたら・・『オズの魔法使い』をなぞらえては必要だったなぁ。一度だけじゃなく何度でも飛べ!2019/04/23
ウッディ
178
リストラ候補として、イノ部屋送りになった3人。自分が有能であると信じる羽村、家庭の事情で異動を喜ぶ中川、そして、ダメ社員の烙印を押されたことを家族に言えない祐介はオズの魔法使いの登場人物、脳のないカカシ、心のないブリキの木こり、そして勇気のないライオンになぞらえ、会社の不正問題の内部告発とその裏にあった取引の犠牲になろうとした中川を救うため、室長の江崎とともに立ち上がる。娘の病気を伏せようとする中川の気持ちがわからず、江崎の娘の立場にでき過ぎ感があり、リアリティが感じられず、読後感はすっきりしなかった。2019/12/17