出版社内容情報
【文学/日本文学小説】元男爵家の六郎太はおぼっちゃま育ちでニート暮らしだが、以前シンガポールで知り合った旧友がもうけ話を持ち込んできて発奮。西南戦争で死んだ西郷隆盛が実は生き延び、彼の遺児が新興宗教の教祖になっているという。ブーム再燃、傑作復刊!
獅子文六[シシブンロク]
著・文・その他
内容説明
男爵の血筋で居候の六郎太は鹿児島で、かつて出奔した先のシンガポールで出会った重助と12年ぶりに再会。聞けば仏印ラオスに“金の河”と呼ばれる無尽蔵の砂金が出る渓谷があるという。西郷隆盛の「御落胤」も登場、二人が画策した一攫千金作戦の行方は?幻のユーモア小説。
著者等紹介
獅子文六[シシブンロク]
1893年、神奈川県生まれ。小説家・劇作家・演出家。慶応義塾大学文科予科を中退後、フランスへ渡り演劇理論を学ぶ。日本へ帰国後、岸田國士、久保田万太郎らと文学座を立ち上げ、演劇の振興に力をそそいだ。一方、獅子文六の筆名で執筆活動をはじめ、1934年に文芸誌『新青年』に掲載された『金色青春譜』でデビュー。69年に逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shizuka
44
獅子文六さんの本は豪快かつ繊細でとても好みだ。今回はちょっとぼーっとしている元華族の御曹司、六郎太が主人公。歳に不足はなくなってもお母ちゃんに頭が上がらないのがミソ。そうじゃないと物語がつまらなくなる。独り合点の妹康子に時折かき回されるも、そこはなんとなくこなしていく如才なさ。初めて恋した女性、瑞江が曲者。でも最後にはね。男模様も女模様も全く見事に書き上げるなあ。西郷隆盛が鹿児島でどれだけ神格化されているか、まただからこそ商売、宗教のネタにされてしまうのも納得。西郷どんの思惑外で。六郎太さらに羽ばたけよ!2019/12/09
ヨーイチ
39
文六センセイの小説でよく出てくる「茫洋として大人物風で会社勤めに向かない、その反面自分の信じた事、原則は守り抜く、育ちの良い」大男・六郎太が主人公。どうやら作者の父親がモデルのようらしい。他の作品にも出てくるお馴染みのキャラクターだが、鹿児島県・薩摩の風土、文化がバックボーンになっているのが「都会的な文六センセイ」としては珍しいのではないか。鹿児島との縁は「海軍」執筆取材の余禄かと早とちりしたが、あれは日米開戦以降の筈で、鹿児島への愛着は父親と中津藩・福澤諭吉・慶應と云うラインから元々持っていた物らしい。2020/03/27
nyanlay
8
戦前の話しなんだけど、なかなか楽しい話し。終わりの方では九州の景色を想像して楽しめました。2019/09/16
Inzaghico (Etsuko Oshita)
6
獅子は茫洋とした大器晩成型の男子(男性という言葉よりしっくりくる)の人物造型がほんとうにうまい。本作の主人公の六郎太も育ちが良い元貴族で、会社勤めは全敗、家でのほほんと暮らしていた。こんな六郎太に西郷どんの偽ご落胤やら、怪しげな宗教やら、なかなか口説き落とせない意中の女性やら、次から次へと障害が現れるが、おおらかに、肚を据えて対処していくと、これまた不思議、いつの間にか解決してしまうのだ。彼の意中の女性を含め、彼のファンが陰日向になり力になってくれることも多いからだ。 2018/07/10
栄吉
5
★★★☆☆ ちまちま読む。主人公の六郎太の行動にハラハラする。でも好人物だからこそ、成り立つお話しでした。2019/09/19
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