出版社内容情報
【文学/日本文学小説】昭和49年、画家・熊谷守一と妻・秀子のある夏の日を描いた映画「モリのいる場所」(沖田修一監督作品)の小説版。94歳の画家が愛する自邸の庭と小さな命。老夫婦のお茶の間に集う人々。さまざまな視点でディテールを重ねつつ、軽やかに「守一像」に迫る。
小林雄次[コバヤシユウジ]
著・文・その他
内容説明
昭和49年夏。結婚52年目を迎えた画家・熊谷守一(モリ)と妻・秀子のある1日を描いた映画『モリのいる場所』の小説版。94歳の画家が愛する庭と、そこに住まう無数の小さな生命、老夫婦のお茶の間に集う人々―さまざまな視点から、軽やかに「モリ」の日常があふれだす。
著者等紹介
小林雄次[コバヤシユウジ]
1979年長野県生まれ。脚本家。日本大学芸術学部卒。2002年『サザエさん』で脚本家デビュー。映像・出版の垣根を超えた文筆活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しいたけ
112
山崎努×樹木希林のこの映画を、観たいなあ、さぞかしいい映画に仕上がっているのだろうなあと想像しつつ読んだ。周りの人たちから見た画家熊谷守一の生活。独特ながらも、この人ならまあそうかと納得してしまうような風変わりさ。それでも絵を描く姿は誰も見ることができない。皆がモリの生活に憧れていることがみてとれる。そして私もどっぷり憧れた。おまけのように付きまとう表札の謎解きも楽しい。2018/06/07
り こ む ん
37
映画を小説にしたもの。各登場人物が語る形式で話はすすむ。映画を観てて、一人?疑問の登場人物がいたのだけど、なるほどね。そーゆー設定かぁ~と(笑)ジョーンズさんだったのだね。私的にものすごく好きな世界観で、画家としての熊谷守一より、日常の熊谷守一の素敵なこと!こんな生活してみたいなぁ~と慌ただしくも、どこか、のんびりと時間が流れ、誰もが受け入れられ集まる人、家。まさに憧れの日常。2019/01/27
baba
34
画家熊谷守一氏を関わりのある人々から聞いたエピソードから人物像を伝える。どの章も守一氏との関わりと祖の人物らしい表現で読み手を楽しませ、サクサクと読了。ゆったりと流れる時間、自分だけの世界などそうあったら良いなと思わせる世界を知ることが出来た。2018/07/31
meg
28
映画も良かった。小説も良かった。付箋だらけになった文庫。モリさん、こんにちは。蟻の章が特に印象的だった。2024/04/14
那由多
23
昭和天皇や身近な人の目を通して語られる、画家・熊谷守一(94歳)のある一日のフィクションを映画化したノベライズ。蟻、宇宙人、庭、からの意外な視点もあり面白い。熊谷さんの存在も存じ上げず、映画も知らなかったので、絵と書を画像検索、映画予告を動画で視聴。文化勲章授与を断る場面、蟻や雨滴の素朴な愛らしい絵、小さな庭の散歩時間。すっかりファンになってしまった。2020/08/28