出版社内容情報
街で女を見捨てた警視庁刑事の沢渡と、見ず知らずの女の命を救ったヤクザの波多野。腐れ縁の2人の前に、女を助けたい中国黒社会の沈が現れる。3人の運命が重なる時、警察内部の暗く深い闇が蠢きだす……。本格警察小説!《解説・東山彰良》
内容説明
街で女を見捨てた警視庁組織犯罪対策部の沢渡と、行きずりの女の命を救った滝本組の幹部ヤクザ・波多野。腐れ縁の2人の前に、女を助けたい中国黒社会の新興勢力「義水盟」の沈が現れる。3人の運命が重なる時、警察内部の黒く深い闇が蠢きだす…。
著者等紹介
月村了衛[ツキムラリョウエ]
1963年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。作家。2010年に『機龍警察』でデビュー。2012年に『機龍警察自爆条項』で第33回日本SF大賞、2013年に『機龍警察暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、2015年に『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんたろー
183
警部補・沢渡とヤクザ・波多野の「バディもの?」と思って読み始めたが、意外な展開に驚くし、月村さんには珍しい「ダメな主人公」なのが新鮮に感じた。やる気なく能力にも疑問符が付く主人公なので、肩入れ出来ないタイプなのだが、途中から中国人犯罪組織のボス・沈と組むようになってからが面白い…日本の暗部である不法入国や人身売買を身近に感じさせる怖さも入れ込んでテンポ好く進むサスペンスと終盤の仕掛けは楽しめた。沢渡の心境変化を丁寧に描いていないので共感度が薄いのが残念だが、沈の魅力で補っているとも言える。続編も読みたい♬2019/10/08
えみ
68
こんな黒さなら染まってみてもいい。突然目の前に突き付けられた事実で反転する展開に、少なからず衝撃を受けた。日向の中で陰となり、陰の中で日向となる。正義も悪もそこにはなくて、ただ底知れぬ欲と思惑だけが渦巻き、上品に食うか獣のように貪るかのどちらかしかない。どのみち喰われた者が残すのは骨だけだ。うらぶれた刑事が出会ってしまった2人の裏社会に生きる男。彼らによって道徳を奪われ平凡を失った。しかし社会とは関係ない、自分の使命、理想、覇気が胸の内にあったことを思い出していく。期待して読んでも期待を裏切らない一冊!2022/10/05
巨峰
61
割と予想外の展開になってこれからどうなるのとおもったけど、着地点は良かったと思う。ページ数は少ないけど、内容には必要で十分。これ以上水増ししたら、水ぶくれになる。ジャストサイズ 2020/12/31
ナミのママ
61
【再読】続編が出で、こちらが文庫化されたので再読。中国がらみのブラックが好きなので、もう少しドロドロ黒いと嬉しいのですが、さらっと読める警察モノです。バイオレンス部分も、この後の作品に比べると軽めに思います。まさか続編が出るとは思わなかった、というのが正直な感想です。警察作品の主人公には色々なタイプがいますが、冴えなくて、抜け目なくて、正義だけでなくて人間臭いこの主人公は面白いです。月村さんの作品に出てくる人物は弱みの部分が魅力ですね。2016/10/13
カムイ
47
月村了衛氏は2作目、ラインナップを見ると警察小説が多いこの作品もその一つ。主人公の刑事沢渡が何とも情けないクズ刑事である、日々の不満を唯々諾々と腑抜けたおしている、こう書くと魅力が全くないかと思うがそれもまた違うのである。言うなれば巻き込まれ型の主人公であり警察組織に立ち向かうのがストーリーの柱なのでその中にヤクザ、中国黒社会、人身売買など折り込みながら進めて行く❗️読み物としては途中までは?の部分はあるがこれエンタメだよなと😅刑事とヤクザがタッグするがアッサリと相方が退場するのはこの先どうするの→2022/06/18
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