出版社内容情報
【文学/日本文学評論随筆その他】看取る人、逝く人。死を目前にした人は、何を訴えるのか。365日人が亡くなる現場に身を置く医師が臨床の言葉を詩人に送り、詩人は詩と散文で応える、優れたコラボレーション。死についての深い考察のある、心震える往復書簡。
内容説明
ホスピスに携わる医師が、臨床のエピソードを手紙に託し、詩人は詩と散文で応える。若者と老人、孤独な人と家族に囲まれた人で、訪れる死は違うのだろうか?深い考察とユーモアに溢れた、心震える二年間の往復書簡。文庫化に寄せて「七年後の往復書簡」を収録。
目次
朝の申し送り
夜の場所
ラウンジ語り
ラウンジの次元
意味ないじゃーん
感度良好です
なかなおり、至難
困ります
3号室の生徒たち
消えようとするとき〔ほか〕
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年東京都生まれ。詩人。52年、第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。62年「月火水木金土日の歌」で第4回日本レコード大賞作詞賞、93年『世間知ラズ』で第1回萩原朔太郎賞ほか受賞多数。詩作を中心に絵本、エッセイ、翻訳、映画脚本など幅広い活躍を続ける
徳永進[トクナガススム]
1948年鳥取県生まれ。医師。京都大学医学部卒業。鳥取赤十字病院内科部長を経て、鳥取市内に「野の花診療所」を開設。82年『死の中の笑み』で講談社ノンフィクション賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃが
17
気になる二人、詩人谷川さんとホスピス医徳永さんの往復書簡。臨床のエピソードを手紙に、谷川さんは詩で応え、死や家族がテーマなのだがユーモアを交えながら進行していく。そこには深く、温かく、軽みにひそむ重い「生と死」を問いかけていた。文庫化で「七年後の往復書簡」が加わっている、逸る気持ちで読んだ。よかった。徳永さんは「死のそばにいさせてもらっている、ありがたいなあ」と言い、谷川さんは「詩のそばにいさせてもらっている、ありがたいなあ」と応える。差し詰め私は「本のそばにいさせてもらっている、ありがたいなあ」かな2015/05/18
ゆき
6
お二人の往復書簡。とても素敵ですね。臨床のお話を受けて谷川さんが詩をささげる形式が素晴らしいです。詩がとても染み入ります。2017/05/07
生活相談屋
3
詩人谷川俊太郎とホスピス「野の花診療所」を経営する医師徳永進の往復書簡を一冊の本にしたもの。いやぁ、これは僕の拙い言葉で感想を綴るより一節でも引用した方が感動が伝わるだろう。「古い年の終わりに穏やかに枯れていくものたち 新しい年の初めに生き生きと芽吹くものたち そのどちらも同じひとつのいのち 切り離してしまえるものは何ひとつないのだ」2017/09/26
たゐせゐ
3
詩がない、死がない、そんな暮らしはしがない。というところから始まり、詩人は詩のそばで働くこと、臨床医は死のそばで働くことについて、お互いを慰め合って終わる。全ては1に帰化すると云う詩人にとって、生と死は超えるものであり、地続きであるもの。同じ死はなくどれもドラマチックな死であると云う臨床医は、どの人にも必ず死が訪れなければならないと云う。そうにして、「し」を248ページの中で扱ってゆく。2016/05/31
コジターレ
2
読メ登録前に読了。人の死に向き合う眼差しの優しさが印象に残っている。
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- 和書
- 中国古代車馬研究