内容説明
東方の一民族の一小集団の信仰であったキリスト教は、どのように西洋にまた世界各地にひろがったのか?聖者伝をはじめ、この宗教を組み立てている様々な物語、そのうつり変わりをつぶさに辿るとき、異教として新しい世界に入ったこの宗教が、その地の要素をとりこみ、出自の母斑を脱色しながら、少しずつ変容していった有様がまざまざと見えてくる。博い知識の語りが原理主義的なこわばりを静かにほぐす一冊。
目次
1 ユダの系譜
2 『奉教人の死』の源流
3 十字架―楽園の木
4 イエスの肖像
5 聖母マリアと三人のマリア
6 聖ヘレナと十字架
7 東方の苦行僧、聖アレクシウスの変貌
8 西洋人名の背景
9 コペルニクス的転回と中世の世界観
10 キリスト教と日本人
著者等紹介
松原秀一[マツバラヒデイチ]
1930年、フランス、グルノーブルに生まれる。慶応義塾大学経済学部卒業。同大学院仏文科修士課程修了。慶応義塾大学文学部教授をへて同大学名誉教授。フランス国立ポワティエ大学名誉博士。専攻、中世フランス文学。85年、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章を受章。アーサー王学会会員、国際七賢人学会会員、日仏会館理事
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感想・レビュー
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どらがあんこ
12
近代以降あまり顧みられない俗信や異教的要素といった振れ幅は単にアレゴリーに還元することが難しい。にもかかわらずキリスト教というとなんとなくヨーロッパが浮かぶのは彼らの視覚化が余程影響しているのだろう。だがイメージはときに遮蔽幕となって、それ以上に遡る想像力の源流を止めてしまう。そのバランスを保つのが難しいところ。2019/03/19
xin
4
タイトルから勝手にキリスト教がヨーロッパ(や他の地域)のpaganと角逐しながらも受容されていく過程をpaganの側から通史的に解説した本かと思っていたのだが、そうではなくてすでに確立した文化のルーツを辿ることで外来の宗教であるキリスト教が日本や西欧でどのように受け入れられていったのかを探るというスタンスだった。興味深いテーマが多くエッセイ的で読みやすい。2015/12/21
takao
2
ふむ2021/06/02
Kazuyuki Koishikawa
2
日本にとっての異教という意味だったのか。2019/12/31
陽香
0
199004022013/02/04