内容説明
日々の生活のこと、書くという仕事のこと、現在日本のことばや作家たち、そして死という問題など、詩人、元編集者の文筆家、小説家がさまざまに語り合う。ジャンルや世代の違う三人が、深く鋭く、時にユーモアをもって、ことばへの思いと創作の秘密を明かした本。
目次
三角宇宙(ふつうの「生活」;書くという「仕事」;考えかたとしての「死」)
それぞれの宇宙(吉本ばななの宇宙;谷川俊太郎の宇宙;高田宏の宇宙)
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年東京都生まれ。詩人。52年、第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。96年に朝日賞、2010年に『トロムソコラージュ』で第1回鮎川信夫賞を受賞
高田宏[タカダヒロシ]
1932年京都府生まれ。文筆家。雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。78年に『言葉の海へ』で大佛次郎賞と亀井勝一郎賞、90年に『木に会う』で読売文学賞受賞
吉本ばなな[ヨシモトバナナ]
現在の表記は、「よしもとばなな」。1964年東京都生まれ。小説家。87年「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
32
作家たちの対談集である。三人三様というよりも、当時まだ25歳であった吉本ばななという希世を取り囲んで、大御所のおじさま、谷川氏、高田氏が料理をするという構図に見えてしまう。そこも、仕事での対談ではなく、あそびの余白としての語りなような気がしてしまうのだ。それがまた会話の妙であり、作家同士のことばあそびなのだろうな。相手から何を引き出すか、どう突っ込みを入れるか、そんなことばの駆け引きをしている様が見ていて心地よい。2012/05/16
へくとぱすかる
29
詩人・編集者・小説家とそれぞれの立場から、今までの経験やことば・文章についての感覚を鼎談していく。詩を書く人と小説を書く人の、関心のあり方がちがうという論に、考えさせられるところがあった。出来事への関心をもって、聞こうとするのはやはり小説家の態度のようだ。1994年発行の本の文庫化なので、20年の歳月の流れをやや感じるものの、話し合われたことは今もそうだな、と納得できそう。2014/04/20
イワハシ
4
詩人・元編集者・若手作家(当時)の鼎談。年長者が若手(しかも女性)に「これってどうなの?」とマウントをやる本だが、思ったより嫌な感じはない。参加者が皆聡明だからかな。谷崎のことばはさらさらしていていい。2021/06/07
Yoko Nakajima
3
詩人、文筆家、小説家。ジャンルや世代の違う3人が集まって、深く鋭く、時にユーモアーをもって、ことばへの思いと創作の秘密を明かした良本。その言葉を紡ぐ人達の鼎談の中で『軽いことばといっても、「羽毛」のようにただ風に吹かれて浮いている軽さと、「鳥」のように生命が宿っていて、そこには意思もあり、欲望もあって、それで空に浮かんでいるような軽さがある(P97)」という言葉が胸に残った。それから過去を振り返り「あのひどい時期を生き、生き延びてほんとうによかった。そして正直になってよかった。そう思います」という言葉も。2012/06/18
ちいこ
2
20年以上前の本を復刻させたそうで…。 でも読み応えはありました。2012/11/21