内容説明
理髪店を営む清水豊松は復員後、妻子とともに平和に暮らしていた。しかし、ある日、戦犯として逮捕され、絞首刑を言い渡されてしまう。自らの無罪を信じ、妻が必死に集めた200人の助命嘆願書を携え、再審に臨んだ豊松に下された最終判決とは?50年前にテレビで放送された不朽の名作、初の完全シナリオ集。
著者等紹介
橋本忍[ハシモトシノブ]
1918年兵庫県生まれ。脚本家。伊丹万作監督に師事し、50年に黒澤明監督『羅生門』で脚本家デビュー。以降、『生きる』『七人の侍』などの脚本に参加し、74年『砂の器』では脚本とともに製作者としても功績を残す。58年に脚本を手掛けた『私は貝になりたい』が翌年映画化され、初めて監督をつとめた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鷺@みんさー
29
タイトルと、戦犯の東京裁判の話ということはなんとなく知っていたが、ストーリーはきちんと知らなかった。ラストのキャスト一覧を見て、当時のかなり豪華キャストを持ってきたんだなと。戯曲形式は読みにくくて苦手だったんだけど、読みやすかった。タイトルだけからの連想で、てっきり「戦時中には色々あった。自分だけ生き残って、死んだ仲間に申し訳ない。あの場であったことは口をつぐんでいたい」という意味の「私は貝になりたい」って意味かと勝手に想像してたので、ラストはショックでした。まさに、こういう人が実際にいたのだろうなぁ…2025/10/08
やま
14
小説ではなく脚本。復員後、理不尽にも戦犯として絞首刑を言い渡される清水豊松。豊松のように絞首刑を言い渡されたBC級戦犯は143人いたらしいが、その中には豊松同様理不尽な判決がいくつもあったことだろう。2015/07/20
水無月十六(ニール・フィレル)
5
2008年に映画化(再?)されていたもののシナリオ。映画は未鑑賞なので、これを機に観てみたいと思う。BC級戦犯として裁かれた人を描いた物語。タイトルの言葉が強烈な印象を残す。戦争の理不尽さを表すとともに、日本と外国、当時と現代の価値観の相違も浮き彫りにしていると思う。シナリオなので、映像がなく、どこか薄味に読めるかもしれないが、これはどちらかというとセリフと僅かながらの情景描写からタイトルの言葉の意味を考える作品だと思う。戦争を一番よく知っている人は、生き延びた人よりも、死んだ人だという考えをより強くした2016/07/16
梅干し夫人
5
本当に「理不尽」という言葉しか出てこない。確かに捕虜は傷つけたけど、あの時代、あの状況で「絶対に嫌です」と言える人間なんかいたのだろうか。「さとうきび畑の唄」では、さんまさんが上官に逆らって銃で撃たれていたけど、自分が死ぬか、上官に殺されるか、どっちかしかなかったと思う。ましてや、妻と子供がいれば生きて帰りたいと思うに決まってる。2015/09/13
ラスコリ
4
本当に不意打ちもいいところだ。 なぜ豊松が死刑にならなければならなかったのかが全く分からない。 「貝になりたい」という最後の部分が豊松の人生を物語っている。2014/11/15




