朝日文庫
「新しい人」の方へ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 212p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022644152
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

ノーベル賞作家が、子供にも大人にも作れる人生の習慣をアドバイス。本をゆっくり読む方法、ウソをつかない力の鍛え方、意地悪な気持ちと向き合うことなど、16のメッセージと15点のカラーイラストが美しくひびきあう感動のエッセイ。文庫への書き下ろし「『子供のための大きい本』を思いながら」も収録。

目次

黒柳さんのチンドン屋
頭をぶつける
子供のためのカラマーゾフ
数十尾のウグイ
電池ぐれで!
賞をもらわない九十九人
意地悪のエネルギー
ウソをつかない力
「知識人」になる夢
人の言葉をつたえる
もし若者が知っていたら!もし老人が行えたら!
忍耐と希望
生きる練習
本をゆっくり読む法
「新しい人」になるほかない
「子供のための大きい本」をおもいながら

著者等紹介

大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935年愛媛県生まれ。東京大学仏文科卒。大学在学中の58年、「飼育」で芥川賞受賞。以降、現在まで常に現代文学をリードし続け、数多くの賞を受賞。94年にはノーベル文学賞を受賞する。『万延元年のフットボール』(谷崎潤一郎賞)『洪水はわが魂に及び』(野間文芸賞)『「雨の木」を聴く女たち』(読売文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

139
本書は、子ども(中学生が主体)と、その母親に向けて語りかけるように書かれたエッセイ。もちろん、それ以外の読者にも開かれている。『「自分の木」の下で』の2冊目として書かれたようだ。大江氏の幼少の思い出も語られるが、それも含めて、ここでは若い人たちに託する未来への希求が静かに述べられている。大江氏は、クリスチャンではないと思われるが、新約聖書の「エフェソの信徒への手紙」を引いて語られる「新しい人」は実に感動的だ。彼は自分を「新しい人」にはなれなかった「古い人」として、バトンを未来を担う若い人たちに託すのだ。2014/06/04

あきあかね

24
 自身の少年時代、青年時代の経験を基に、子供たちに向けて書かれた本書は、大江健三郎版の『君たちはどう生きるか』とも言えるだろう。 平易な言葉遣いであるが、「意地悪さ」への立ち向かい方、ウソをつかない力をつけるといった文章には、時に大人もハッとさせられる。 本の読み方についての文章も、子供だけでなく、大人も参考になると思う。著者のフランス文学の師は、卒業にあたって、ある作家や詩人、思想家を決めて、その人の本や研究書を二年から三年集中して読み続けるようにと言う。そして、4年目には別の作家、新たなテーマへと⇒2019/07/22

マッピー

7
だいたい高校生を想定して書いた本とのことですから、難しい言葉は使っていません。高校生に向かって語りながら、やはり私たち大人にも伝えたいことがあるはずです。高校生に考えろ、行動しろというのなら、私たち大人だって考えたり行動したりしなければいけません。“敵意を滅ぼし、和解を達成する「新しい人」になってください。「新しい人」をめざしてください。 「新しい人」になるしかないのです。”読んでいて、平和を希求する強い気持ちを感じました。2003年に書かれた本。今ならどんな言葉で若い人に語りかけるのでしょう。2015/06/14

しょうじ

6
本は素晴らしいなぁ。このような書を読むと、少しだけ知識人の会話に入れてもらえたような気分になる。自分はこんなに堅城な構えはできないけれど、土台は見習いたい。 子ども向けに書かれた本なのでとても理解しやすい。でも、それぞれの経験談は胸をえぐられるものがある。勇気がでなかったために長年抱えることになった思いや、からかわれたために書けなくなった詩のこと。私は子どもの心の大切なものを壊さずに育てられているだろうか。気を付けないと。それは大きいものより壊れにくいかもしれないけれど、とても柔らかくて変形しやすいから。2022/10/07

ダージリン

5
若い人向けではあるが、実に大江氏らしい文章という気がする。雑に生きず、歩みは遅くとも、丁寧にしっかり考えて生きるよう励まされる思いがする。読みながら、大江氏が良く使う「エラボレーション」という言葉が自然と思い浮かんだ。新しい人になるのは難しいことだろうが、愚直にエラボレーションを続けながら、新しい人になることを目指して生きていけたらと願わずにはおれない。2020/06/15

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