内容説明
小説を楽しむためのヒント教えます!よい小説を書きたい人、面白い小説を読みたい人、すべての小説好きに贈る最初にして最後の小説論ノート。宣長から鴎外、カフカ、谷崎、クノー、ハイスミスまで古今東西の文芸作品を渉猟する倉橋流辛口小説指南。
目次
小説論ノート(もののあわれ;勧善懲悪;愚行;恋;自殺 ほか)
小説を楽しむための小説読本(小説の現在―「第二芸術」としての純文学の終わり;小説を楽しむこと;長い小説;一品料理としての短編小説;小説の評価 ほか)
著者等紹介
倉橋由美子[クラハシユミコ]
1935年、高知県生まれ。明治大学仏文科に在学中の60年、明大新聞に発表した『パルタイ』が脚光を浴び、選者の平野謙に文芸時評で推奨され、同年の芥川賞最終候補になる。また同作品で61年の女流文学賞を受賞。小説に『アマノン国往還記』(87年、泉鏡花賞)など
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
63
昔、『スミヤキストQの冒険』を読んだときは面白さが十分味わえなくて、エッセイだとどんな感じなのか?…と、読んでみた。著者が40才台のころの小説論ノートの冒頭、近代は「鴎外と漱石がでてくるまで文学はないに等しかった。」と言い切る。小説家は死を好むとか。はっきりしていて、良い。2017/01/27
harass
32
77年から79年に雑誌連載された「小説論ノート」と20年後の晩年(この単行本出版後約4年で死去)に書かれた小説エッセイをまとめたもの。題名からただのエッセイだと思っていた。77年あたりの倉橋は小説が書けなくなった時期で、彼女が語る明晰で厳格な小説観と、文壇とそこでもてはやされるある種の小説への毒づきが見もの。この尖りっぷりは素敵。後半でも辛辣な物言いは相変わらずだが軽く読める。小説論というより小説の面白さや読み方指南である。前半と違い少ないが良いとする作品をいくつか挙げている。駄目出しのもあるのだが。2014/11/26
双海(ふたみ)
18
「聖少女」や「パルタイ」などで名前を知った倉橋由美子さんが評論を書いていたとは。小説論ノートの冒頭、宣長からはじまっていてちょっと驚いた。最近、長めの小説は読んでいないけれど、また挑戦しようかなと思わされました。2016/07/14
三柴ゆよし
8
再読。倉橋由美子は虚構を虚構として描いた人だけど、その小説の方法が、きわめて明快な論理と倫理に支えられていたことが、本書を読むとよくわかる。この強靭な思考に触れる効用は少なくない。これからも折に触れて読み返すことになると思う。2010/11/07
三柴ゆよし
6
「小説は嘘で固まっていなければならない。問題はその固まり具合が完璧かどうかということであるが……ただしそれは読者の精神を宙に支えて飛行させるに足る強力な文章を必要とする。」凡百の小説家がぬかしたら噴飯ものだが、倉橋さんが云うとすごい説得力。2009/01/04
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