出版社内容情報
大正・昭和と多くの読者を獲得しながら、時代と社会的偏見にさらされ続けた吉屋信子の初の本格的評伝。巧みなエピソードと引用で、彼女のもとに集う女性作家たちの人生を鮮やかに描く。近代女流文学史としても読み応え十分の長編小説。
内容説明
『花物語』から『女人平家』まで、大正・昭和と多くの読者を獲得しながら、時代と社会的偏見にさらされ続けた吉屋信子の初の本格的評伝。竹久夢二に促されて上京した信子は、生涯の伴侶、門馬千代と出会い、パリ遊学を経て、鋭い直感と洞察力に恵まれた才能を、ますます花開かせてゆく―。
目次
鬱金桜
紫の矢絣・海老茶の袴
東京漂泊
潮みちて
パリの夢
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。63年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』で第五十回芥川賞を受賞、88年、『花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女』で女流文学賞を、93年、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞を受賞。94年、菊池寛賞を、95年、紫綬褒章を受ける。98年、『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。2000年、文化功労者に顕彰される
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はちみつ
2
やや欲張りに詰め込んでいる印象。吉屋信子という人を知りたくて読むならば、前半の足尾鉱毒事件の件はきついです、ここを抜けるまで田中正造翁伝のごとき感ありなので、吉屋信子の生きた時代として頑張って読みました。単純に極端なフェミニストだと思っていましたが、若き日の恋や出会いに結構大胆さを感じます。彼女の言う第二の路を 自分の生き方を通すのが、まだ女性には難しい時代に、一途に優しさと良識を持って歩んだことが伝わってきます。2019/12/11
Gen Kato
1
再読。吉屋信子のみならず、同時代の女流作家・活動家たちの肖像もきっちり描かれている。今読んで考えさせられるのは冒頭の足尾鉱毒事件に触れたくだり。吉屋信子の持つある種の偏見(田辺聖子先生もここはきっちりと批判的に書いている)が、現在起こっている福島のそれ(住民に対してネットなどで書かれる誹謗中傷)と同質なのだ。時代はどんなに変わっても人間は変わらないということなんでしょうか…2013/10/30
timeturner
1
田辺聖子の気迫がすごい。2011/08/18
きょうたん
0
上巻は、吉屋信子の恋文の引用多し。