内容説明
「春のともしびは、靄気に滲んで、輪郭がぼやけている。この本もおよそそんなものだとおもってくだされば、気が楽である」。脳死と臓器移植と宗教観、国際社会と日本の歩む道―。今日的な問題から歴史の深い襞に踏み込んで、日本の精神風土を見つめ直す濃密な長編エッセイ5編。
目次
心と形
護貞氏の話―肥後細川家のことども
仄かなスコットランド
踏み出しますか
義務について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
44
面白かったです。5つのテーマの異なる雑文という感じでしょうか。2022/05/14
レアル
41
今から約30年前の月刊asahi連載エッセイを纏めたもの。臓器移植を宗教観から切り込んだ「心と形」。『街道をゆく』を彷彿される「仄かなスコットランド」。先の総理大臣、細川護煕氏の父親の細川護貞氏の「護貞氏の話」。そして<新しい日本をどう作るか>の講演内容の「踏み出しますか」。最後は「義務について」。どれも良かったが東條英機と絡ませながら綴る「護貞氏の話」が一番印象深かった。2021/11/23
aponchan
15
司馬遼太郎氏作品乱読の内の一冊です。今まで、読んで来た氏の作品のエッセンスが多分に詰まっていると感じながら、読了。同じような内容ながら、何かしらを考えさせられるので、楽しかった。2022/04/12
金吾
13
○5つのテーマに対するエッセイです。司馬さんのエッセイを読むたびに博学に驚きます。護貞氏の話と義務については面白かったです。2020/08/04
時代
10
講演会での話に加筆したもの。五つのテーマ。宗教のこと、細川家からの東條英機と敗戦へのこと、スコットランドのこと、世界の中の日本国家のこと、明治維新と新国家成立のための西洋化と義務という倫理のこと、など。講演会なので司馬さんの語り口が心地よい○2019/05/31