出版社内容情報
【目次】
内容説明
二〇二六年二月の総選挙で自民党が圧勝した。わずか一年前には多党化が進んでいたはずだった。いったい何が起きたのか。これは「自民一強」への回帰なのか、それとも新たな政党システムの始まりなのか―。本書は比較政治学の理論と各国の歴史的展開から、政党政治の深層に迫る。二大政党制とは何か。定期的な政権交代を実現する理想か、激しい対立をもたらす欠陥か。評価は両極に揺れる。一方、多党制も、包摂的という見方と急進政党の温床という批判が混在する。これらの神話と誤解を徹底検証する。イギリス、アメリカ、大陸欧州諸国、日本をおもに取り上げつつ、政党システムと政党組織の考察からその本質を解明し、二大政党制のヴァージョンアップを提唱する。代議制民主主義の未来を示す画期的論考。
目次
第1章 二大政党制の理論
第2章 二大政党制の形成
第3章 変容する二大政党制
第4章 日本政治と二大政党制
第5章 二大政党制の神話と誤解
終章 二大政党制の展望
著者等紹介
待鳥聡史[マチドリサトシ]
1971年生まれ。京都大学法学部卒業。京都大学大学院法学研究科博士後期課程(政治学専攻)中途退学。京都大学博士(法学)。大阪大学助教授などを経て京都大学大学院法学研究科教授。専攻は比較政治論。おもな著書に『首相政治の制度分析―現代日本政治の権力基盤形成』(千倉書房、サントリー学芸賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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お抹茶
4
著者の積み重ねを感じる論考。経済成長が継続すると,福祉国家的な政策を実現するには,幅広い集団の利益を表出しやすい多党制の連立政権が最適だった。マイノリティの包摂も進展する。しかし,脱物質主義的価値の高まりや冷戦の終結で,戦後政治を主導してきた各国の主要政党は衰退。中選挙区制では単独過半数は難しいが,自民党は実現できた。二大政党制が政権交代を導くとは限らず,多党制での政権交代は稀ではない。コンセンサス型民主主義の寛容さや穏健な多党制は,前提とする政治経済環境が失われると,急進勢力の伸長を回避できない。2026/05/13
O次郎
2
政党制の成り立ちと制度について分かりやすく、コンパクトにまとまっている。日本において二大政党制が実現するには衆院だけでなく、参院改革や地方政治の在り方にもメスを入れねばならないのは確実だよなと。「穏健な多党制」が戦後経済成長の賜物であり例外的な事象という著者の指摘には暗い気持ちになるが、現在の大陸ヨーロッパ諸国の政治状況やナチスが生まれた当時のドイツの状況を考えればむべなるかなと思う。とはいえ最も大切なのは、私たち一人一人が民主政治の限界を正しく理解し、社会を漸進させていこうという気持ちを持つことだなと2026/04/26
チャーリイ
1
二大政党制か多党制かという政党システム論だけで、政党政治を語ることはできず、政党内部における意思決定やアクターの関わりといった政党組織論とを総合して見ていく必要性を説くことを通じて、二大政党制の価値を再考した論考。二大政党制でも党内分派はあるが、分派が民主主義的正統性までを直ちに得ることは難しく、その影響力はその党の組織事情による一方、多党制は少数政党が選挙を通じて直ちに民主主義的正統性を確立する。このことが、社会文化的少数派の尊重になることもあれば、急進勢力の台頭による危機招来にも繋がる。2026/05/06




