朝日選書
戦火のサラエボ100年史―「民族浄化」もう一つの真実

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  • サイズ B6判/ページ数 281,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022630360
  • NDC分類 239.34
  • Cコード C0330

出版社内容情報

20世紀が始まった街角と呼ばれるサラエボ。民族主義と歴史認識の相克を100年続く家族への聞き取りで迫るノンフィクション。

内容説明

1914年6月28日、オーストリア・ハンガリー帝国の皇位継承者フランツ・フェルディナント大公がサラエボ外遊中、セルビア人青年に暗殺された。第一次世界大戦の引金となったこのサラエボ事件をめぐり、100年後の今なお、暗殺者は「祖国解放の英雄」か「テロリスト」か、歴史観の対立が続く。サラエボは、元々、ボシュニャク(モスレム)人、セルビア人、クロアチア人の主要3民族が共存する多様性に富む土地だったが、民族対立をあおり利用する政治家たちによって、92~95年、「ボスニア内戦」を余儀なくされた。当時、欧米メディアがさかんに使った「民族浄化」の言葉が広まり、99年コソボ紛争ではNATOのユーゴ空爆があった。しかしあれは本当に民族紛争だったのか?民族主義と歴史認識の相克を、サラエボで100年続く家族への聞き取りと証言でたどる本格ノンフィクション。

目次

「殺し合う歴史」ばかりでなく
予備知識としてのボスニア概史―古代から一九八〇年代まで
第一次世界大戦からユーゴ王国の時代
第二次世界大戦から社会主義の時代へ
ユーゴ崩壊と内戦初期
膠着の中で
セルビア人は「悪」だったのか
内戦終結とその後の体制
過去をどう清算し、伝えていくのか
統合は進んだのか
欧州人として、イスラム教徒として
文明の十字路から、普遍の人間性へ

著者等紹介

梅原季哉[ウメハラトシヤ]
朝日新聞ヨーロッパ総局長(在ロンドン)。1964年生まれ。1988年、国際基督教大学(ICU)教養学部卒業。朝日新聞入社。長崎支局で記者生活を始める。1993‐94年、米ジョージタウン大学へ派遣留学。その後ブリュッセル、ウィーン、ワシントンで特派員、国際報道部や東京社会部のデスクなどを経て、2013年9月から現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nobuko Hashimoto

23
東欧関連の授業をしておきながら、ユーゴはややこしくて少々苦手意識があったが、最近だいぶ克服してきた。本書は新聞記者によるルポをまとめ直した感じのコンパクトな本。文字通りサラエボの100年の歴史を、そこに生きた(生きている)人に注目して、わかりやすく伝えようとしている。繰り返し表現を削るなどして、もっとすっきりまとめてあればとも思ったが、無味乾燥な歴史書にない、生身の人間の営みを感じさせる内容になっている。サラエボ行きたいな~。2020/07/24

スー

11
サラエボの百年の歴史をいくつかの家族を通して書いてあります。ボスニアには大きく分けてボシュニャク人、セルビア人、クロアチア人で、見た目では区別がつかないそうです。しかし、民族主義を主張する政治家が現れるとだんだんギクシャクし始め、遂に泥沼の内戦になってしまう。多くの人の努力により内戦が終わっても政治家の人気とりの為に対立を煽るような発言したり学校では民族別にそれぞれの教育をしてるので、なかなか一つになるのは難しい。早く統一したのは軍隊で洪水が発生した時は協力して民族に関係なく助け合った。希望はまだある。2017/04/29

yooou

8
☆☆☆★★ ボスニアに暮らすさまざまな出自の人々の百年の系譜を辿ることで浮かび上がるかの地の複雑に重なり合う歴史。なかなかの労作でした。しかし、ジェノサイドを起こした原因にこの歴史が果たした役割は寧ろ分からなくなっていく。2016/09/04

sasha

4
ユーゴスラビアの歴史及びセルビア内戦の概要を掴むための入門書ってところか。代々サラエボにする3民族の取材協力者に家族史等のインタビューを元に民族も宗教も脇に置いて「人間」を中心に描いている。信じる宗教が違うだけで3民族とも同じ南スラブ人なんだよな。共産主義を掲げながらソ連に追従しなかったチトーの下では共存できていたのだもなぁ。出自や宗教よりも、やぱり「どんな人間か」なんだよな。2015/11/25

大道寺

3
サラエボやユーゴ全体の100年史を国家レベルで知りたければ『ユーゴスラヴィア現代史』あたりを先に読んでおくのが良いと思う。本書ならではの特長はサラエボで100年続く家族へのインタビューを始め、サラエボに住む様々な民族の個人の声であろう。2017/04/29

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