出版社内容情報
対米隷属を強化する日本。日本社会の「幼稚化」「コスパ化」「階級化」などをキーワードに、これからの日本で本当の民主主義は実現するのかを徹底討論。先の衆院選、日本人の歴史性について語りあった文庫版のための新規対談を1章分追加!
内容説明
「永続敗戦レジーム」の中で対米従属が加速する日本。社会を覆う「コスパ化」「幼稚化」「歴史観の喪失」という病と、固定化しつつある階層と階級。この国の劣化は止められるのか?思想家と気鋭の政治学者が縦横無尽に語り尽くす。文庫化に際し新たな対談を大幅追加!
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒。東京都立大学大学院博士課程中退。神戸女学院大学名誉教授。神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。2007年第6回小林秀雄賞、2011年『日本辺境論』で2010年度新書大賞、同年第3回伊丹十三賞を受賞
白井聡[シライサトシ]
1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は政治学・社会思想。京都精華大学国際文化学部人文学科専任講師。2013年『永続敗戦論―戦後日本の核心』で第4回いける本大賞、第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
30
属国ということがわかっているならば、非武装平和主義は絶対に無理だということをリベラル派は理解しないといけない。クリミアを奪われた時のウクライナと今のウクライナでは全然、装備と経験が違う。反アベだけではピント外れすぎる。必ず精密な経済政策を訴えないことには有権者の支持を束ねることはできない。日本に民主主義が根付くには、まだ数百年かかるし、もしかして根付かないかもしれないくらい風土や国民性がアングロサクソン諸国と違うことを認識しないといけない。ということで、本書で共感できるポイントは著しく少ない。2022/04/13
山ろく
15
「日本辺境論」の内田樹と「永続敗戦論」の白井聡による対談第2弾。8年前の政治対談でありながら古びた印象を受けないのは現代政治の基本構造に変化がないから。教育をはじめ、何よりも民主主義の、さらには市民社会そのものの劣化が止まらないことへの危惧が、具体例をもって語られるのを読むと、そういうことかと目を開かれつつも、自分のこととして受け止めるよりも、ただ残念な気持ちが先に立ってしまう。米国追随に陥った原因やそこに対中国戦略を絡めて提示された最悪のシナリオに、ただ腑に落ちてしまうだけではどうしようもないのだけど。2024/06/28
tokko
12
今の日本は本当にどこから手をつけていいかわからないくらい、あちこちに問題が山積している。全てを一気に片付けるソリューションはないのだろうけど、その鍵となる部分が「属国精神」なんだろうな、という気がする。自分達の国が劣化していくことに心理的抵抗を感じない、「そこからまず手をつけませんか」という内田先生の提案(だと僕は読んだのだが)に賛同する。2023/02/07
やましん
12
だいぶ前にまとめ買いした内田樹シリーズのひとつ。最近私生活が充実してて今月1冊目。なんか読んだことある気がするな、と思ったら案の定日本戦後史論の増補版で読了後に気づいた。どうして「こんなもの」がここにあるのか、どうしてあるはずのものがここにないのかを手がかりに世界情勢を読み解く内田氏と白井氏の対談は2010年代の政局解説に終わらない含蓄がある。増補版なので実質再読なのだがあとがきに書いてる内田氏の本書の落武者のイメージがどハマりしていて面白い。2022/12/11
amanon
10
既読本であることに途中まで気づかなかった(笑)。ただし、これは増補版なので、読んで損した気にはならない。というより、旧版と新版との六年間という時間的隔たりが、殆ど感じられないくらいに、事態が停滞化しているという印象が拭えないのが何とも…政治の劣化、維新の躍進、安倍的なるものの継続、国民の幼稚化…現状のマイナス要素を数えているときりがないほど。このまま行き着くところまで落ちていかないと日本は、再び上向きになることはないのか?ついそんなことを考えてしまう。次に二人の対談があるとすれば、どんな内容になるのか?2023/07/25