出版社内容情報
最も意気盛んな安定期に見えて、中年ほど心の危機をはらんだ季節はない――。心理療法の大家が、夏目漱石、大江健三郎、佐藤愛子、山田太一などの日本文学の名作12編を読み解き、中年の心の深層をさぐる。本書に登場する小説の登場人物たちは、職場での自らの立ち位置、配偶者の浮気、子どもの教育、老いへの不安など、ありふれているようで本人にとっては重大いな問題に直面し、戸惑い、やがて人生の大切な転換点を体験する。読者にその問題が降りかかってきたとき、どう立ち向かえばよいか。著者ならではの「中年論」。目次はじめに1人生の四季 夏目漱石『門』2四十の惑い 山田太一『異人たちとの夏』3入り口に立つ 広津和郎『神経病時代』4心の傷を癒す 大江健三郎『人生の親戚』5砂の眼 安倍公房『砂の女』6エロスの行方 円地文子『妖』7男性のエロス 中村真一郎『恋の泉』8二つの太陽 佐藤愛子『凪の光景』9母なる遊女 谷崎潤一郎『蘆刈』10 ワイルドネス 本間洋平『家族ゲーム』11夫婦の転生 志賀直哉『転生』12自己実現の王道 夏目漱石『道草』あとがき
内容説明
自我を確立し、社会的な地位を得たあと、人は何を求めて生きるのか。中年期になると人は「何かが足りない」と不可解な不安に駆られるものだ。夏目漱石、大江健三郎、山田太一など、日本文学の名作12編を読み解き、登場する中年たちの心の深層を探る。
目次
人生の四季―夏目漱石『門』
四十の惑い―山田太一『異人たちとの夏』
入り口に立つ―広津和郎『神経病時代』
心の傷を癒す―大江健三郎『人生の親戚』
砂の眼―安部公房『砂の女』
エロスの行方―円地文子『妖』
男性のエロス―中村真一郎『恋の泉』
二つの太陽―佐藤愛子『凪の光景』
母なる遊女―谷崎潤一郎『蘆刈』
ワイルドネス―本間洋平『家族ゲーム』
夫婦の転生―志賀直哉『転生』
自己実現の王道―夏目漱石『道草』
著者等紹介
河合隼雄[カワイハヤオ]
1928年兵庫県生まれ。京都大学理学部卒業。臨床心理学者、心理療法家。62~65年スイスのユング研究所に留学、日本人初のユング派分析家の資格を取得。京都大学教授、国際日本文化研究センター教授を歴任、2002年文化庁長官に就任。1982年『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞、88年『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞受賞、95年紫綬褒章受章、98年朝日賞受賞、2000年文化功労者顕彰。07年7月逝去。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
ステビア
じゅん
T
Inzaghico (Etsuko Oshita)