出版社内容情報
「高砂」から「道成寺」「安宅」まで、能の名作15本を〈梅原学〉で読み解く。作品だけではなく、世阿弥をはじめとする能作者と南北朝の関係、能が体現した日本的仏教思想など、刺激的でわかりやすい画期的な能入門。
内容説明
「高砂」から「井筒」「杜若」「道成寺」「安宅」まで、能の名作15本。知の巨匠は、それらをいかに読み解いたのか。作品の解説だけにとどまらず、世阿弥をはじめとする能作者と南北朝の関係、能が体現した日本的仏教思想にまで及ぶ、刺激的で分かりやすい画期的な能入門。
目次
自然居士―観音の救済劇
卒都婆小町―恋の乗り移り
高砂―仲の良き老夫婦
清経―戦線離脱者の恋
井筒―「待つ」ということ
恋重荷―そも恋は…
蝉丸―捨てられた皇子
善知鳥―最果ての物語
山姥―山また山に、山廻り
弱法師―父と子の哀話
杜若―歌舞の菩薩
定家―死とエロス
邯鄲―夢の夢の夢の世
安宅―室町の弁慶物語
道成寺―乱拍子の変身
著者等紹介
梅原猛[ウメハラタケシ]
1925年仙台市生まれ。京都大学文学部哲学科卒。立命館大学教授、京都市立芸術大学学長、国際日本文化研究センター顧問。日本ペンクラブ会長も務めた。仏教伝道文化賞、NHK放送文化賞などを受賞。文化勲章受章。著書に、『隠された十字架 法隆寺論』(毎日出版文化賞)、『水底の歌』(大佛次郎賞)、『ヤマトタケル』(大谷竹次郎賞)など多数。2019年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
426
名著。梅原先生86歳時点の著作らしいが、ご本人の知の結集と言えるだろう。知らない演目はつべで確認しながら読み進めることのできる時代に感謝。わたしのような初心者にも、かみ砕くようにご指南くださる。想像していた以上に、恋のお話の多いのもわたしの好み、ど真ん中ストライク。韓流を追っかけてた友人のごとく、これからのわたしは、ワキ能楽師・野口能弘さんを追っかけて行こうと誓った次第←2019/11/13
KAZOO
107
梅原さんによる脳の入門書です。このような本を書かれているとは思いませんでした。15の演題で私もいくつか鑑賞したことがあるのですが、このように時代順に説明してくれるとまたみたくなります。観阿弥、世阿弥、金春禅竹などの作品が掲載されています。文庫本ではしょうがないのでしょうが、写真などを収めてくれるといいと感じました。2020/05/16
chantal(シャンタール)
87
世阿弥と金春禅竹作を中心に梅原先生が選ぶ15演目についての解説。能には記紀、和歌、物語、仏教、日本の文化の真髄が色濃く反映されている、正に日本文化の結晶!平家物語や太平記、読んでて良かった。和歌も詳しくはないがいくつか知った歌があり、とても楽しく読めた。謡の部分も文字にして読むと本当に美しく、リズム感があり、この本を片手に生で能を鑑賞したいと、心から思う。世阿弥の「戦争を厭い平和を願う心と差別を否定し人間の平等を願う気持ち」が能と言う元々の民間芸能を日本文化の精髄にまで押し上げたのだろう。良書。2020/02/15
イシザル
12
ある能楽師の方が、「客席から木が生えてきて、あたかも演じてる場面にいるような感覚を…」っとzone体験を教えてくれました。生きる物、死んだ物、古典、流動的な意識の入替、少ない情報で最小限の道具で全てを表現する(それはトリップするわ)。日本のポストモダン文学は、「能」です。2019/12/10
紫羊
8
また能を観たくなった。2021/07/19