出版社内容情報
【文学/日本文学評論随筆その他】「負けない力」とは知性のことだ! そもそも本当の知性とは何か?「勉強が出来る」「頭がいい」ことが重視されてきた結果、「負け続けてきた」この国で、知性を手にするために。ロングセラー『知性の 覆』につながる思考鍛錬エッセイ。
橋本 治[ハシモト オサム]
著・文・その他
内容説明
今の時代、知性は何の役にも立たないと言われているが、知性とはその役に立たないと思われているものの中から、自分にとって必要なものを探し当てる能力である。手っ取り早く役に立つ情報を求めて、結果「考える力」が弱体化し負けてしまう。そんなあなたのための、勇気の書。
目次
第1章 知性はもう負けている
第2章 知性はもっと負けている
第3章 「知性」がえらそうだった時代
第4章 「教養主義的な考え方」から脱するために
第5章 「負けない」ということ
終章 世界はまだ完成していない
著者等紹介
橋本治[ハシモトオサム]
1948年東京都生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、『桃尻娘』で小説現代新人賞佳作を受賞。評論家としても活躍。『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、『「三島由紀夫」とは何者だったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、『双調平家物語』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.T
19
負けない力、というのは知性のこと。読んでスパスパわかって、頭がよくなりそうな役立つ本ではないが、少しずつ自分を変えてゆける標になるような。コロコロと環境の変化に追いつくのに必死で根無し人間みたいな自分には耳が痛い。好きな読書も実は自分には毒になっているんじゃないかとも思えてしまう。「みんなはどう思うかな?」と最初の一歩で思いがちなところには「空気を読む」にしかならず、「みんなはこんなふうに考えているらしい」「今は自分も近代的でなきゃ」「今は軍国主義でお国のためが第一だ」…2024/04/25
じろー
18
ちょっとは自分で考えないとダメでしょう、しっかりしなさいと怒られます。その力はあるでしょうと励まされます。この本を役に立てられるかどうかはあなた次第ですよと言われます。ゴタゴタ理屈をこねられますのでちょっと物好きでないと読み通せないかなと思います。僕は物好きなので折に触れ読み返したいです。2018/10/02
練りようかん
10
まえがきはおなじみの論法で、初橋本作品の人はどんな顔になるだろうと思った。負けない力とは知性です、これを読んでも身につきません。丁寧なお断りが奥義なのだから。明治維新政府から始まっていた詰め込み教育や大学進学率に触れ、いかに日本人気質と教養主義が相性良いのかを実感。重要だった知性が何の意味もなくなるプロセスを1970年代以後のファッションで紐解き、着眼点がユニークだと思っていたがとんでもなく説得力があって面白かった。知性はあるかないかの2択で、誰々よりあると比較するものじゃないという言葉が印象に残った。2025/01/06
黒頭巾ちゃん
9
▼知性とは「負けない」こと▼知性は頭のいいこととモラル&マナーが入ってる▼欲望をコントロールすること▼手っ取り早く覚えたて言葉すぐに忘れる。自分のコードを付けなければ▼知らないことや分からないことがあると拒否する生き物▼コピペは根拠を外側に求める。根拠は本来内側に起こるまの▼「下らないもの」は女子供が好きなこと▼教養は大衆化してない。大衆化は下らないもの▼教養主義とは知識を持っておけば何とかなるという思想▼難しい事が分かる人は簡単に説明することが苦手▼日本人は物事を損得で考え、長いものには巻かれろの精神2020/05/06
まーさん
7
「負けない力」とは知性であると著者は定義します。日本で多くの総理大臣を輩出している県の一つは旧長州の山口県であるや「テレビ朝日」は昔「日本教育テレビ」といっていたなど知らないことがいっぱいだった。また、個人的には恐竜はものを考えなかったという第5章がおもしろかった。なぜ、恐竜は2憶年の間、何も考えず、ただ食って生殖して体をでかくすることばかりやってきたのか。その比較として人類はなんでそんなせっかちに知能を発達させたのだろう。最後の「なんか変だな」と感じることは大事なことだと思った。2019/08/17