出版社内容情報
【文学/日本文学評論随筆その他】「国家神道」「八紘一宇」……かつて日本を覆いつくし、敗戦とともに消えた思想や概念が、姿を変えて復活しようとしている。日本はなぜ歴史を繰り返すのか? 戦前・戦中の日本を「戦史」の面から検証し、「大日本病」の再発に警鐘を鳴らす。
山崎雅弘[ヤマザキマサヒロ]
著・文・その他
内容説明
かつて熱病のように日本を覆いつくし、敗戦とともに消えたと思われた思想や概念が、姿を変えて復活しようとしている。戦前・戦中の日本を「戦史」の面から再検証し、急速に進む「大日本病」の悪化に警鐘を鳴らす。安倍政権下の2015~2018年におきた重要事項を大幅加筆。
目次
序章 安倍晋三政権下の日本政府が目指すもの
第1章 戦争のハードウエアとソフトウエア
第2章 国家神道体制と「国体明徴」運動の隆盛
第3章 戦後日本が怠った「OSの再インストール」
第4章 安倍政権下で再発した「大日本病」
第5章 戦前の価値観を継承する安倍政権
著者等紹介
山崎雅弘[ヤマザキマサヒロ]
1967年大阪生まれ。戦史・紛争史研究家。軍事面だけでなく、政治や民族、文化、宗教など、様々な角度から過去の戦争や紛争に光を当て、俯瞰的に分析・概説する記事を、1999年より雑誌「歴史群像」で連載中。また、同様の手法で現代日本の政治問題を分析する原稿を、東京新聞、神奈川新聞などの媒体に寄稿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
44
これ戦前の話だよね・・・。都合の悪いことには目をつぶり、この国は特別、この国はすごいと盛り上がり、異論を圧殺し・・・今の日本と似てないか。色々な視点はあるけれど、著者が言うように、戦前の国家神道体制のもと日本が焦土となったこと、欧米由来の民主主義体制のもとで日本が奇跡の復興を遂げたこと、これは事実。時計を巻き戻そうと躍起になっている人たちは、その先にどんな世界を夢見ているのか。私は、国家はそこで暮らす人々が幸せになるための仕組みだと思ってる。国民は、国を維持するための資源ではない。2019/04/06
へくとぱすかる
39
放っておけば、日本はまた戦前と同じ道を歩んでしまう。そんな危機感を切実に感じさせる。現実を願望と混同してしまう思考。哲学よりも思想を優先する思考。自分の頭で考えようとしない態度が、結局は多くの人命を失うことになる。そんな結果を歴史はいくつも見てきたのではないだろうか。真綿で首をしめられて、もの言えぬ社会にならないように、今こそ警戒するべきだろう。2018/07/01
hatayan
33
資料を紐解きながら、戦前の価値観と現政権の志向が似ていることを懸念する一冊。 戦前戦中の為政者にとって「国を守る」ことの「国」とは、「国民」ではなく「天皇を中心とする国家神道の政治体制」。日本は特別に優れた国という認識に溺れたことで自国を客観的に見る目を喪失。精神に根拠を求め、個人は国家のために身を捧げることが当然とされました。 なし崩しにされる政教分離の原則、教材として認められる教育勅語。いったんは封印されたはずの大日本帝国の思想がときの政権のもとで復活しつつあることに著者は強い危機感を表明しています。2019/06/18
naporin
6
理路整然と分析されていて、かの戦争責任と、天皇制の問、、安倍政権の政治に垣間見えてくる意思に関する、濃霧に包まれたような状況から、霧が薄くなったように感じる、名著。百田尚樹の「日本国紀」がヒットするこの状況に必読の書籍。バランスを保つために「日本国紀」の読者は必ず合わせて読まなくてはならない。2018/11/25
ほしそらねこちゃ
5
ここに書かれている事象は現在進行形であり静かに確実に拡大しつつあること、それにどう対峙していくべきか我々個人が考えなければならない2019/08/21