出版社内容情報
ネコは人間をどう思っているのか、チョウはなぜ美しいのか、雪の中で生きる虫がいるのはなぜか。動物や虫たちには世界はどう見えているのか。私たちが生きる世界の不思議を、動物行動学者がユーモアを交えてわかりやすく綴る。
内容説明
蝶はなぜヒラヒラと舞うのか?動物は雄雌をどう見分けるのか?動物に自意識はあるのか?何気なく見ている生きものの生態を、動物行動学者の目で観察すると、世界は新たな発見に満ちている。生きものへの愛と興味に溢れたエッセイ。(巻末エッセイ・日高喜久子)
目次
第1章 ぼくの動物誌(昼のチョウの存在について;ネコの時間 ほか)
第2章 動物はなぜ“動物”になったか(フェロモンの神話;ギフチョウ―23度の秘密 ほか)
第3章 動物をめぐるノート(動物の自意識;エコロジーにまつわること ほか)
第4章 生きものの世界への疑問(種―この不思議なもの;多型とプログラム ほか)
著者等紹介
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930年東京都生まれ。東京大学理学部卒業、理学博士。動物行動学者。東京農工大学教授、京都大学教授、滋賀県立大学初代学長、総合地球環境学研究所初代所長を歴任。2000年に南方熊楠賞受賞、08年に瑞宝重光章受章。09年11月逝去。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小梅
88
進化と自然淘汰についての疑問。大変興味深く読みました。奥様の巻末エッセイが良かった!そうか日高先生の専属イラストレーターは奥様だったのですね。最後にじんわりしました。2018/01/30
ふう
79
はじめの方はチョウなど昆虫のについての疑問と説明が多く、昆虫にそれほど興味がないのになぜこの本を手に取ったのだろうと思いながら読み進めました。「日高氏が書いたものだから」ですが、関心がないとこんなに理解しにくいのかと、子どもに学習への関心を持たせることの大切さと難しさを改めて感じました。ただ、ところどころに日高氏らしい考え方やおもしろい表現が組み込まれていて、それを頼りに何とか読み終えたというところ。文中にあった女学生のひと言「なぜ、そんなにいろいろなチョウがいなくてはいけないんですか?」と同レベルです。2018/01/30
とろこ
63
動物行動学者である著者(故人)が、1970年代に書いたエッセイを集めたもの。昆虫に関する話が多い。前半は、「へぇ!!」と驚くことが多かった。後半は、専門的になり、やや難しく感じることもあったが、全体的には面白かった。進化論や自然淘汰に対する疑問も、言われてみれば確かに、と思う。正解は分からないけれど。この本を読んだことで、これまで苦手だった虫にも、興味を持つことができた。そして、生きものの存在は、本当に不思議に満ち溢れて、奇跡に近いものなのだなぁ、と感じた。巻末の、奥様のエッセイにホロリとした。2018/02/15
ホークス
46
元本は1991年刊。動物行動学者の少し硬めの生物話。古いので鵜呑みにできないけど面白い。鱗翅類でも蝶は日中に翔び、蛾は夜に翔ぶ。蝶は異性もハネを見て探す。強度より面積重視のハネで頼りなくヒラヒラ翔ぶ。この翔び方には、多視点となり物陰の異性を見つけやすく、鳥にも捕まり難いという意外な効果がある。という話に3回膝を打った。生物の持つ仕組みには、ハチが仲間に蜜の場所を伝えるダンス、アリがエサからの道につける匂いなど色々ある。鳥のアイラインが鼻先に向かって伸びているのは獲物を狙う照準器だから。意識して見てみよう。2022/05/20
阿部義彦
29
動物行動学者の日高敏隆先生の、わかり易く書かれたエッセイ集です。春の妖精「ギフチョウ」から猫の生態観察、そしてチンパンジーにおける実験までどれも生き物に関する驚きと愛に満ちています。特に進化に的を絞った最終章は、如何に進化が誤解と偏見に満ちて未だに論争の絶えない問題を孕んでいるかを、本人は謙遜して素人として、分からない事だらけだと正直に疑問を呈して本当に刺激的でした。奥様の描いたイラストも素敵です。私も春になったのでギフチョウの実物を見てみたいなあと思っています。2018/03/29
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