出版社内容情報
33歳の時にレイプ被害体験を実名で告白した著者が、3000人もの被害者との交流で見た、残酷なまでの性犯罪被害のリアル。「私にはまだ伝えたいことがある」。近年はSNSを使った子供の被害も問題視され、決して他人事ではない性犯罪の実態を訴える。
内容説明
被害者たちの証言から明らかになる性犯罪被害の現実。そして、裁判員裁判、刑法改正に向けた動きなど、社会の変化に翻弄されながらも、前に進もうとたたかう被害者たち。近年はSNSを使った子どもの被害も問題視され、決して他人事ではない性犯罪の実態を訴える。
目次
第1章 10年前のあの日
第2章 裁判員裁判を通して
第3章 報じられない被害の現実
第4章 秘密を抱える人たち
第5章 打ち明けられた側
第6章 顔を出すということ
第7章 被害者同士がつながる意味
著者等紹介
小林美佳[コバヤシミカ]
1975年東京都生まれ。2000年8月、性犯罪事件に巻き込まれる。08年『性犯罪被害にあうということ』、10年『性犯罪被害とたたかうということ』を出版。名前と顔を出して被害を告白し、大きな注目を集める。現在は会社員のかたわら、ホームページなどを通じて性暴力被害者たちとの交流を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
38
続編。前作の反響を受け彼女が多角的に性犯罪と関わっていこうと努力する姿が記述されています。けれども、彼女自身まだまだきちんと整理がつかない問題に向き合うよう押し付けられるようなエピソードがあり、とても辛かった。だって、読んでいる限り彼女はまだまだ準備ができていないように思えるから…。悪気がないからこそよけい暴力的に感じられました。…舘ひろしの写真で笑わせてくれた警察官との再会にはにっこり。嘘のない朴訥とした言葉にお人柄を感じました。立ち上がってくれてありがとう。2022/09/06
坊っちゃん
10
★★★ 『性犯罪被害にあうということ』の続編。前作の文庫版あとがきで「この本を出してから、私の生活は、がらりと変わりました。(中略)何千人もの被害当事者たちとの出会い、社会からの要望や課題、両親との関係、(中略)予想できなかったことが次々と起こり始めたのです。」とあったので、果たしてどんなことが語られるのか本書を期待して読んだのですが、主に同じ性犯罪被害者とのやりとりにページが割かれ、彼女の「予想できなかったこと」については、いまひとつ肩すかしな感じでした。(コメント:2019/07/27)2019/07/24
たか
7
今の時代、男性も女性も性犯罪に巻き込まれる可能性がある中、被害にあわれた方の気持ちを考えるととても辛く感じます。特に性犯罪は圧倒的に被害者は女性で加害者が男性であるケースが多く、体力的に弱い女性は襲われたら抵抗しても被害にあう可能性が高い。男性として加害者は憎いし、自分の知り合いや彼女が被害にあったのなら許すことはできないだろうな…。2019/12/26
ただの晴れ女
6
本人が苦しんでいるのはもちろんのこと、周りの人の苦しみもどれだけか、と。いつでも連絡をとれるように、携帯のつながらない場所は避けて、「あの日」飲み会に行ってしまったからだ...とお酒も飲まなくなった元恋人の話がかなしかった。大切な人に対する無力感。 性犯罪者はちょんぎれば良い!と思うけど、性欲が残っていればほのほうほうで、貶めるだろうし。 「恋人」からの無理矢理の性行為だって、痴漢や変質者にだって、傷つくし、「強姦」にはならなくとも、性的なことで潜在的にどれだけ傷ついた女の人がいるんだろう...2017/10/17
saiikitogohu
1
「第三者が、当事者に対して『聞くに堪えない』『痛々しい』と表現する方が、聞くに堪えません。だって私たちはそれを『自分の記憶』として持っているのですから」(56)「被告人が漏らしたという「本当に悪いことをした」という呟き。そして弁護人が出してきた手紙。「僕は人に愛されたい」被告人はそう書いたという…私はそんな言葉を被告人から引き出すために、あの本を世に出したのではありません」(58)「性暴力の被害にあうことは『恥ずかしい』ことなのでしょうか?…私は『恥ずかしい存在』なのか。」942019/01/25
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