出版社内容情報
【文学/日本文学評論随筆その他】朝日新聞1面のコラム「天声人語」。この欄を70年代に3年弱執筆、読む者を魅了し続け新聞史上最高のコラムニストとも評されながら急逝した記者がいた。その名は深代惇郎──。氏の天声人語から特によいものを編んだベスト版が新装で復活!
内容説明
朝日新聞1面のコラム「天声人語」。この欄を1970年代半ばに3年弱執筆、読む者を魅了し続けて新聞史上最高のコラムニストとも評されながら急逝した記者がいた。その名は深代惇郎―。彼の天声人語から特によいものを編んだベスト版が新装文庫判で復活。
目次
世相
社会
政治
経済
若者
戦争
国際
日本と日本人
人
人生
文化
自然
歴史
著者等紹介
深代惇郎[フカシロジュンロウ]
1929年東京都生まれ。東京大学法学部卒業。53年朝日新聞社入社。ロンドン、ニューヨーク各特派員、東京本部社会部次長、ヨーロッパ総局長などを経て、73年に論説委員となる。同年2月15日から75年11月11日、入院するまで、朝日新聞1面コラム「天声人語」を執筆した。同年12月17日に急性骨髄性白血病のため死去。享年46(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
42
去年、後藤正治が書いた評伝「天人」が印象に残っていたので、新聞史上最高のコラムニストとされる深代氏の「天声人語」はぜひ読みたかった。社会や政治、文化などがテーマの回のほうが、ウィットに富んで面白い。東京・下町育ちの江戸っ子らしさや、飾らず低い視点、そして凛とした佇まいを感じさせる文章。何となく同い年の向田邦子さんの文章を思い出しました。2015/11/20
もりくに
31
深代惇郎が、昭和48年から50年にかけて書いた「天声人語」の選り抜き。同期でのちに同じくそれを執筆した辰野和男が、「世相」から「歴史」まで12項目に分類。パソコンですぐ検索できる時代と違い、大変な労力を使った文章なんだなとの感慨を持った。有吉佐和子が「ものすごく勉強していたわ」と述べている。時事ネタでは、現在とは大いに状況が異なり、風化しているものも散見されるが、正面から問題を論じ、ピリッとまとめ上げる文章が素晴らしい。「文化」「自然」「歴史」などの文章は、現在でも十分に通用する。「自然」は特に名文だ。2016/11/12
ぐうぐう
23
便利になったことで失うものもある。『深代惇郎の天声人語』を読んでいると、そんなことを実感する。毎日の時事コラム、その短さの中に、歴史や文化がさりげに挿入されている。それは、今ではネットで簡単に調べられるような情報に過ぎないものも多い。だが、深代の時代(1970年代前半)には、むろん、そんな便利なものはない。彼の天声人語に出てくる歴史や文化は、彼が持つそもそもの教養から滲み出たものなのだ。昨日今日に知ったのではない、彼の血肉であるからこそ、説得力があり、何より厚みが感じられる。(つづく)2016/05/25
sasha
14
ブログ等に書く本の感想は1000字以内を自身の目標にしている。短文を書く難しさを自分に課しているのだが、なかなかうまくはいかない。だから、稀代の名文家・深代惇郎の「天声人語」を読むと打ちのめされる。どうやったらこんなに巧みな短文が書けるのかと。「天声人語」を書くために新聞記者になったような人だと思う。1篇1篇を噛みしめながら読み、打ちのめされる幸福に浸る。2017/11/09
あきあかね
9
朝日新聞のコラム「天声人語」の文章は模範とされ、大学入試等でも引用されることが多い。そのコラムの60年に及ぶ歴史の中で、稀代の名文家と評されているのが、深代惇郎である。深代は1973年2月から1975年11月まで天声人語を執筆し、75年12月に病に襲われ46歳の若さで亡くなった。 著者のコラムの対象は、ウォーターゲート事件、田中角栄首相の辞任といった政治問題から長嶋の引退まで幅広く、どの文章もウィットがきいている。中でも白眉なのが、自然の移ろいなどについて書いた、叙情に満ちた文章である。2018/11/17