内容説明
賜暇を得て帰国したサトウは、法律の勉強に着手し、さらに合間をぬってヨーロッパ大陸への旅行や音楽会の楽しみを満喫する。二年の後、サトウは東京へ帰任する前に、政情視察と旧友ウイリス訪問を目的に鹿児島へ赴き、西南戦争勃発の現場にいあわせることになった。
目次
賜暇
帰路
ウイリス・3
鹿児島へ
著者等紹介
萩原延壽[ハギハラノブトシ]
1926年、東京・浅草に生まれる。東京大学法学部政治学科卒業。同大学院修了後、ペンシルヴァニア大学、オックスフォード大学へ留学。帰国後は、研究・著述に専念する。2001年10月没。著書に『馬場辰猪』(吉野作造賞)、『東郷茂徳―伝記と解説』(吉田茂賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
56
この巻ではサトウが2年間の休暇をもらって、その間にヨーロッパ各地を巡っての様子が描かれています。芸術や音楽を楽しんだ様子が細かにえがかれています。その後東京に戻る前に鹿児島へ行きますが西南戦役の勃発に巻きもまれるところまでです。2015/06/16
ホークス
42
英国外交官アーネスト・サトウの評伝。第12巻は、父の死による約2年間の帰国から始まる。サトウは法律を勉強し、演奏会と旅行を楽しむ。友人ウイリスも粗暴な父が死に、一時帰国して貧乏な実家を助ける。医師として母も治療する。二人は一族に期待されているが、彼らが日本でもうけた子の情報は少ない。女性が目立たないのは暴力や差別の深刻さ、命の軽さを示す。サトウは政情視察のため鹿児島経由で戻る事になり、ウイリスとも再会予定。しかし到着と同時に西南戦争が始まる。創業社長が邪魔になった会社を連想する。西郷と旧知のサトウは33才2022/04/16
huchang
3
2年近くも休暇取ってたら、明治初期の日本はドンドン変化してくで大丈夫かー…とサトウくんに代わってこちらが焦ってしまう巻。確かにオーケストラ音楽は明治初期の日本では聞けないし、ヨーロッパにずっといたい気持ちも痛いほど分かる。日記を読むということは歴史を読むというよりは、個人の生活と感情を読んでいるようで味わい深い。通信手段は速報性があるもので電報で、船便で手紙をやり取りするのが一般的な時代にあっては、時間の流れ方も違ってるわな…と想像した。2021/12/29