内容説明
幕末の政局が大政奉還か武力倒幕かの決着をめざして急速に動きだしていた時期、サトウは情報収集をかねて、大坂から江戸まで、東海道の旅に出た。サトウの眼に映った庶民の姿は?一方、パリでは万国博覧会への参加をめぐって、幕府と薩摩が熾烈な外交戦を繰りひろげる。
目次
波紋
東海道
外国交際
大坂再訪
イカルス号事件
著者等紹介
萩原延壽[ハギワラノブトシ]
1926年、東京・浅草に生まれる。東京大学法学部政治学科卒業。同大学院修了後、ペンシルヴァニア大学、オックスフォード大学へ留学。帰国後は、研究・著述に専念する。2001年10月没。著書に『馬場辰猪』(吉野作造賞)、『東郷茂徳―伝記と解説』(吉田茂賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホークス
40
英国外交官アーネスト・サトウの評伝。第5巻は、慶喜による各国謁見の成功から始まる。薩長に共感するサトウは、倒幕を急ぐよう密かに呼びかける。その後の大阪からの東海道旅行記は毒舌で面白かった。慶喜は各国から評価されたが、薩摩藩の工作でフランスは幕府寄りをやめてしまう。先が見えない。サトウは国民議会構想を西郷から聞かされ、後藤象二郎からも聞く。幕府が大政奉還を迫られる直前の事。24才のサトウは幕府終焉のキーマンとつながりながら、最後のタイミングは掴めなかった。ペリー来航から15年。様々な書簡から緊迫感が伝わる。2022/03/29
翔亀
32
【サトウ5】1867年4月の慶喜謁見の後から、10月の大政奉還の前まで。この間、サトウは薩摩(西郷)、長州(伊藤博文、木戸孝允)、土佐(山内容堂、後藤象二郎)と親しく交わる。本書と同じく日記をもとに自らがまとめた回想録『一外交官の見た明治維新』では、「そのころは、日本人に対する私の関係はどこにでも全く安全に行けるほどになっていた」(下巻p60)と得意げだ。しかし、著者は、「サトウは大政奉還の動きはついに聞き出せなかった」、「倒幕運動からの疎外感を痛切に自覚された」(p379)のではないかと読み取る。↓2022/07/09
huchang
3
情報を精査する分析力、重要な情報を誰に出し入れするか徹底する統制力など、このころの西郷は神がかっているのに、ああいうあっけない幕引きで歴史の表舞台から去ってしまったのか…と切なくなる。とはいえ、主な視点はサトウ。上司がいない視察旅行を楽しみ、おもてなしや酒宴の際にはたいがい美人が「おったかおらなんだか」が書いてある。日記の正しい書き方の見本のようで、なんだか微笑ましい。2021/06/17
カトキチ
2
この巻は、大政奉還か武力倒幕かで意見が分かれていた時期に相当します。イギリスがフランス等他の外国よりもより有利な立場に立てるべく、サトウは大坂から江戸まで情報収集の旅に出ます。 その旅先での当時の日本の風俗が日記に綴られているのが面白いです。何々はまずくて食べれなかったとか… あとは、女中が可愛かったとか日記に記していたり、まだ20代のサトウですものね。仕方ないですよね。2019/03/23
まっすん
0
慶喜は魅力的です。2023/08/21