内容説明
携帯電話によるネットワークという新しいメディアの登場で、さらに効率的な情報のやりとりが可能になった。だが同時に、さまざまな「引きこもり」の心性も助長されつつある。IT革命で人の心はどう変わるのか。精神分析学の第一人者・小此木啓吾氏が深層心理を解き明かす。
目次
第1章 仮想現実と現実、二つの世界の使い分け―出るときが危ない、ネットへの引きこもり
第2章 遊びが「狂」になる時代―リアリティ(現実感)の逆転
第3章 仮想現実が「現実」になる―操作人間と「一・五」の世界
第4章 心の中の「内的な引きこもり」―やさしさの裏に潜む、自己中心的な破壊性
第5章 自己愛への引きこもり―等身大の自分になれば脱出できる
第6章 やりたいことがわからない時代―モラトリアムが現実に
第7章 引きこもる女性たち―スーパーウーマン挫折症候群
第8章 父親なき自己愛家族―楽園がやがて地獄に
著者等紹介
小此木啓吾[オコノギケイゴ]
1930年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒。医学博士。日本におけるフロイト研究、精神分析学の第一人者。1978年『モラトリアム人間の時代』を発表、精神分析の手法を社会心理に応用して現代の日本人の心理を分析し、一躍有名となった。慶応義塾大学環境情報学部教授、東京国際大学人間社会学部教授を歴任。2003年死去
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感想・レビュー
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uka
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小此木先生の本の中でも読みやすい。「出るときが危ないネットへのひきこもり、リアリティの逆転、操作人間と一・五の世界、やさしさの裏に潜む自己中心的な破壊性、等身大の自分になれば脱出できる、モラトリアムが現実に、スーパーウーマン挫折症候群、楽園がやがて地獄に」といった副題で語られている。2005年発行。10年後が予期されているとおりになっている。これだけ警鐘があっても現実となってゆく恐ろしさを感じる。2015/06/25
ときどきぷろぐらま。
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少し前の本ですが、逆に今の時代を予想されていたので、ドキドキしながら読み終えました。ちょこっと心理学をかじってて、インターネットにどっぷりとつかっている私には耳の痛いことも。2009/08/06