朝日文庫
日本の古都はなぜ空襲を免れたか

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 248p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022613530
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0121

内容説明

京都・奈良・鎌倉など、貴重な文化財の残る古都が米軍の空襲を免れたのは、その価値を認めてくれたからだ、という「定説」は、まったくデタラメだった!それどころか、京都は第三の原爆投下目標のひとつだったのである。その証拠を丹念に洗い出し、この俗説が流布・信奉された理由を暴く。

目次

第1章 ウォーナー博士は古都を救った恩人か?(志賀直哉のハガキ;『ウォーナー伝説』の定着 ほか)
第2章 京都に原爆を投下せよ!(第一目標は京都;投下目標の“予約” ほか)
第3章 京都の運命(京都案をめぐる確執;『スチムソン恩人説』批判 ほか)
終章 『ウォーナー伝説』を創出したのはだれか?(占領軍からの呼び出し;民間情報教育局の使命)

著者等紹介

吉田守男[ヨシダモリオ]
1946年京都生まれ。71年京都大学文学部(国史学専攻)卒業。78年京都大学大学院文学研究科博士課程を単位取得満期退学。87年樟蔭女子短期大学講師、助教授を経て、94年より教授。2001年より大阪樟蔭女子大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かおりんご

28
歴史。小さい頃、母や祖母から「京都に原爆や焼夷弾が落ちへんかったのは、京都には文化財や歴史的な建造物がぎょーさんあるからや」と言われた。そうなんだと思っていたら、この本を読んでびっくり!戦後のソ連と日本の関係性を見越してのことだったとは。もし、広島、長崎の原爆で降伏しなかったら京都への原爆投下があったとか。目からウロコな話でした。この本は、角川書店から出されている「京都に原爆を投下せよ」と全く同じ内容。別の出版社から、タイトルを変えて出されているのが、ちょっとややこしい。興味深い内容でした。2020/09/14

軍縮地球市民shinshin

14
京都に空襲がなかったのは日本美術研究者のウォーナー博士の功績だったという「俗説」の虚構を暴いた本。初刊は1995年で1年で品切れ。朝日文庫版は2002年に出たがこれも短期間で品切れになったらしい。この後に本書はもう一度再刊されているる。京都に空襲がなかったのは原爆投下の有力な候補地であったからにほかならない。有馬哲夫氏も指摘しているが、アメリカは原爆を間を置かずに日本に投下したかったといえる。それはソ連を牽制して戦後国際秩序で有利に立とうとしたからである。京都は原爆投下の候補地として2020/10/08

モリータ

10
「破壊すべき都市」の選定というのはまさに命の選別であって、破壊者の残酷さ、醜さを示しているが、それと逆の「破壊すべきでない都市」(あるいは文化財)の選定と言うのもそれと同じくらい戦争につきものの冷静かつ醜い行為だと思う。他者による選別によって偶然生き残ったとすれば、災害・事故における生死と同様に「なぜ自分が生き残ったのか(なぜ他の人が死ななければならなかったのか)」という、答えの出ない疑問に悩まされる、というのがよくある戦争後の心理状態かと思うが、「ウォーナー伝説」が示しているのは、(続き)2016/03/08

G軍曹

2
京都はなぜ太平洋戦争で空襲を受けなかったのか。アメリカの美術学者がその文化財を焼失を防ぐため進言し受け入れらたというのが“定説”ですが本書ではそれはデマであると断言しています。京都は原爆の投下目標の一つだったため空襲を受けなかったということをさまざまな資料を駆使しして解説しています。非常に説得力のある内容でした。2018/11/17

キミ兄

2
米国に日本の文化財を守ろうという崇高な理念は無く政治的意図しかなかったことは理解できるが、だからといって米国が結果として京都を爆撃しなかったことまで否定しているのはナンセンス。明らかに「民心が離れること」を理由に爆撃を回避したと筆者自身が書いていることと矛盾している。 筆者の悪意を感じる本。☆。2015/12/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/241588
  • ご注意事項