内容説明
The Best & the Brightest―ケネディが集め、ジョンソンが受け継いだ「最良にしても最も聡明な」人材だと絶賛されたエリート達が、なぜ米国を非道なベトナム戦争という泥沼に引きずり込んでしまったのか。賢者たちの愚行を、綿密な取材で克明に綴るベトナム問題の記念碑的レポート。
目次
1 ケネディとエスタブリッシュメント
2 リベラルと非リベラルのはざまで
3 凡庸にして無難の効用
4 ワシントンに参集した超エリートたち
5 賢者の愚行の発端
6 合理主義と行動の時代
7 反共主義という幻想の遺産
8 ベトナム・コミットメント
9 分岐点・ケネディの妥協
10 奈落に向かう渦巻き
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OjohmbonX
2
よく日本の政策決定(特に大平洋戦争時の意思決定)は外国より非合理的だと語られるが、たとえ米国であっても状況が重なると取り得る選択肢を狭めてベトナム戦争の泥沼に突入してしまう、という実例を丁寧に描いている。ケネディ大統領が絶大な信頼を寄せ、議会や官僚を軽視し、他者を罵倒するバンディ大統領補佐官は、安倍首相が「なんて頭がいいんだ」と絶賛し依拠する今井首相補佐官とそっくりで、日本が米国の制度も参考に官邸権力の強化を果たしたことで、(知的水準の差はあるとしても)似た構造が生じているのかもしれない。2020/05/09
harass
2
60年代アメリカ政治と社会を背景に、ベトナム戦争とそれを指導した「最も素晴らしく、最も頭の良い連中」を描いたノンフィクション。全三巻。アメリカジャーナリズムの容赦なさと徹底性を感じる。ここまで批判できることの健全さが羨ましい。
Fuyuki Kawasaki
1
国内で最も聡明な人々を集めたと言われるケネディー政権が、いかにしてベトナム戦争の泥沼に落ちていったかを描いた作品。 上中下巻の大作。上巻は、ケネディー政権発足やベトナム介入前夜が中心。 真実の究明情熱を傾け、丁寧な取材を行った事が伝わってくる作品。 聡明な人々であっても政治や人間関係からは逃れられず、様々な妥協や打算の元で人選を行い、結果思うような仕事が出来ない様を見ると、現代の日本社会でも似た様な事が起こるなと感じる。 読むのに体力がいるが大変刺激的な本。2019/08/17
さくらさく
1
上々。2018/03/01
s fy
1
繁栄の絶頂にあったアメリカが生んだ、「最も賢明にして最良な」はずの人々が自らのめり込んでいくベトナム戦争という泥沼。何度読み返してみても学ぶことの尽きない名著です。2017/09/30